京町家を後世に残すためのプロジェクト!

京町家を後世に残すためのプロジェクト!
平安時代にその原形ができ、幕末~明治・大正にかけて再建された京町家は、約4万軒が現存しています。多いと思われるかも知れませんが、実は年間約1000軒が取り壊されており、数十年後には消失するという危機を迎えています。歴史・伝統を引継ぎ、世界に誇る日本の建築美を後世に残すべく、このPJを立ちあげました。

て勉強をしてくれていました。学生さんが水平を取る様子

数週間で解体作業が終わると、そこから次々と家を創る作業が始まっていきます。

たくさんの木材が運び込まれ、完成から逆算して組み立てられていく姿は、見ていて圧巻。
寸分の狂いもなく、完璧な仕事を積み重ねていく大工さんの段取りや技術は、横で見ていても全く飽きません♪

こうやってみると、いかに傾いているかがよく分かるかと思います…
この斜めの壁をどうやって整えるかというと・・・

このように、垂直な柱を立て、真っ直ぐな壁を作るのです。こうすることにより、家のサイズは15cmほど小さくなりますが、視覚的にも真っ直ぐな壁が出来上がります。このような要領で、家全体を整えながら作り上げていきます。
画像右手前にも新しい柱が立っていますが、元々あった柱が傾斜していたため、それを新たに支える柱を別途取り付けています。

何より驚いたのが、大工さんの熟練の技による手仕事。
機械も使いますが、細かなところは全て手のこや鉋(かんな)で整えていきます。
mm単位の精確な仕事にはただただ驚くばかりですし、その技術を支える道具を何より丁寧に扱い、しっかりと道具の能力を引き出す技は感嘆の連続でした。

Sさんの手仕事風景。この方は京都御所の修繕なども経験された素晴らしい大工さんです。

50年以上使われている鑿(のみ)。
かっこいいを通り越して、もはや美しい。

町家という建物は、自然のものを使って建てられているため、非常にサステナブルです。
また、建てる段階で完全に完成させるわけではなく、生活様式や時代に合わせて造り替えができるよう、様々な工夫が施されています。
何より素晴らしいのは、木や石、土などの素材の特性を把握し、最大限活かしていること。
木材は材質によって暴れ(曲がり)やくせがあるので、それを見抜いて使い分けられていますし、
土壁や天井裏の木材は呼吸をしているため、湿気が溜まりにくく、空気が循環する構造になっています。

昔の古民家に囲炉裏や火鉢が据えられているのはそのためなんですね。
(空気が循環するため一酸化炭素中毒になりづらい)

このように、京間の畳の中心に炭を入れるスペースがあるのも町家ならでは

そして、うなぎの寝床と呼ばれる縦長の間取りは、もともと間口の大きさで税額が決まっていた時代の名残で縦長に建てられたものが多いようですが、
この間取りは商売と住居の区分けが非常にし易いというのも大きな特徴です。

道路に面しているところに土間がある風景がよくあると思いますが、
土間の部分は見世(みせ)と呼ばれ、現代の店(みせ)に通じています。

そこから奥は建具で仕切られ、住居スペースになっていくというのも町家ならではの構造です。僕の構想(戦略)では、伝統を重んじつつ、町家の特徴を最大限活かすことにより、暮らしながらそこで仕事もし、豊かに暮らすことができると考えています。
その家単体ではなく、所属する地域に貢献し、町の価値を高め、
町家という建物、暮らしが素晴らしいものとして伝わっていき、
京町家に興味を持ってくれる人が少しでも増えればと思い、この企画を立ち上げました。

多くの協力や支えを得ながら、2021年2月、ついにリノベーションが完了しました。
その写真がこちらです。

1部屋をつぶし土間へ変更。ここで母とお惣菜屋を営む予定です。

建具は基本的に既存のものを修復して再利用。
一部京都の建具屋で手配したり、サイズによっては福島県から取り寄せたものも。

料理が得意な母のためにキッチンは2400の大型ス