はじめに
はじめまして。銀座魚勝の女将です。
夫でオーナー料理長の柳橋克彦とともに、銀座魚勝と、㐂津常というお店をやっております。
同い年夫婦の我々は、お休みの日に夫婦でフラリと立ち寄って、お店の方や常連様方と楽しくお喋りしながら、おいしいアテをつまみゆっくり呑める、そんなお店が大好きで、そんなお店をやりたくて、採算度外視の庶民的なお店を、銀座のど真ん中でやっておりました。しかし、このコロナ禍で、料理一筋で生きてきた夫がついに心を病んでしまい、今静養のため、夫のみ、お休みを頂戴しております。
銀座魚勝とは
2010年、中央区京橋にて、夫・柳橋克彦が創業した、大衆居酒屋の「肴や魚勝」が、2015年2月に小料理「銀座魚勝」として、銀座4丁目のど真ん中に移転オープンしたのが、当店の始まりでございます。
オープンして暫くして、ある御方の助言により、お店の裏手にある小さなお稲荷様にお詣りを始めたところ、途端にご来客数が数倍に増えたり、沢山のメディアに取り上げられるようになったり、従業員同士が幸せな結婚をしたりなど、こちらには書けないほどの奇跡的な幸運を多く授けていただきました。教えて下さった御方には、感謝してもしきれません。
そして、お稲荷様に感謝の気持ちをご奉納するため、お稲荷様を江戸城からこの地に勧請された「弥左エ門さん」の名前を冠した「弥左エ門いなり」をお作りする様になり、沢山の方に好評価を頂戴して参りました。当店のいなり寿司を召し上がり、お稲荷様にお詣りされたところ、思わぬ幸運が得られたとの評判等もあいなり、行列が行列を呼ぶように。
(https://www.excite.co.jp/news/article/Getnews_2195596/ 日本橋三越さんでの催事のもよう)
しかし、メディアで話題になればなるほど、常連様方のご予約が取りづらくなり、また、無連絡キャンセルによる深刻な被害に悩まされる様になったため、2019年12月、銀座6丁目に、住所連絡先非公開の、ご紹介制小料理「㐂津常(きつね)」をオープン。
既存の銀座魚勝は、近隣の方は勿論、2020年のオリンピックで訪れるであろう世界の方々も、気軽に当店の伝統的な和食をお楽しみいただけるよう、スタンディングの業態に変更致しました。
2店舗オープン直後にやってきたコロナ禍
立ち飲みになった銀座魚勝も、隠れ家の㐂津常も、どちらもお客様の評判上々、オリンピックも間近と、夢と希望に満ち溢れていた2020年、2月。未曾有のパンデミックが、我々の状況を一変させました。
中国人観光客が多く来られていた銀座・浅草は、真っ先に影響を受け、あっという間にゴーストタウンになってしまいました。2月15日から11日間、当店は銀座三越さんで催事をさせていただいておりましたが、あの銀座三越さんの地下がガラガラ、和光さんの正午の鐘が鳴り響く中でも、中央エスカレーターからは人が降りて来ず、表の扉が閉まっているのではないかと疑いもした程です。
日本一の地代の高さを誇る銀座の大家さん方に、家賃の見直しに応じて下さる方は殆どおらず、また、解約届を出しても半年は家賃を支払い続けなければならないという”銀座ルール”があるため、進むも退くも地獄。特に当店は、2店舗改装オープンしたてで、蓄えを大放出し、新規で大きな借り入れを作った直後でございます。悩みに悩み、この段階ですぐに閉店を決めました。
しかし、あなたたちならきっと乗り越えられると信じているから、あと少し頑張れ!と、ご支援くださる方々が現れ、ありがた