京町家を後世に残すためのプロジェクト!

京町家を後世に残すためのプロジェクト!
平安時代にその原形ができ、幕末~明治・大正にかけて再建された京町家は、約4万軒が現存しています。多いと思われるかも知れませんが、実は年間約1000軒が取り壊されており、数十年後には消失するという危機を迎えています。歴史・伝統を引継ぎ、世界に誇る日本の建築美を後世に残すべく、このPJを立ちあげました。

それまで京都という土地柄はよそ者を嫌うという先入観があった僕は、

「やっぱり京都の人もえぇ人ばっかりや…」

と、呆れるほど純粋に京都の人を信用することにし、その方に2回目の下見の同行をお願いすることにしました。

ちなみにKさんは中心地の大きな京町屋に住んでらっしゃるのですが、そのお宅のお庭がこちら。
この庭だけで僕が検討している家より大きいです。はぁ…

小雨が降る朝、
待ち合わせ場所に現れたのは和服姿のKさん。
その出で立ちにいささかの緊張を覚えつつ、物件の中を見てもらうことに。

「躯体はだいぶ曲がってますねぇ。連棟なんでジャッキで持ち上げて直すのもなかなか大変やし、そもそも連棟やからこの家だけ持ち上げるんは無理やねぇ。
壁もボロボロやさかい、これもある程度直さなあきませんね。
せやかて、この天井裏にある梁は中々立派やねぇ。こういう木材は現代ではもうほぼほぼ手に入らないので、これは貴重ですよ。
あとは、この建具やら飾りガラスやらも今ではもう作られへんもんやから、こういうのも磨けば光る思いますね。
天井もまだ雨漏りは少なそうやし、築100年近く経ってる割にはしっかりしてる建物や思いますよ。これならある程度直せますし、味が出る町家やとは思います。」

約1時間にわたり隅から隅まで見てくださったKさんの言葉に勇気をもらった僕は、母と相談した上でこの物件を購入することにしました。

契約を済ませ、晴れて京都に町家を購入!
僕の心は京町家オーナーになったことでウキウキでしたが、
物件を前に、改めて重要なことに気付きました。
「このままやったら住まれへんから、
 これから数百万円かけて改修(リノベーション)をしていかなあかんねや…」

これまで大阪、兵庫、奈良と移り住んできた我が一家ですが、
京都には何の縁もゆかりもありません。
当然人のつてもないので、京町家についても全く知らないことばかり。。。

困った僕は、物件選びに協力してくれたKさんを再び尋ねました。
「Kさん、実は改修と言ってもどうすればよいのか分からないんです。
 予算的には500-600万円以内で収めたいとは思ってるんですけど、どうすればよいでしょうか?」
「せやねぇ。あの家は躯体もだいぶ直さなあかんし、お母さまが住まはるとなると、水回りやらいろいろ直さなあかんしねぇ。低く見ても1200、300万は掛かるんとちゃいますか。」

え、1200,300万…?
いやいや、いやいや。
もはや物件価格より高いですやん。
すんません、無理です。トイレとか壁とか無しでいいんで、600万円以内に収めたいです。

そんな心の声が喉まで出かかっていましたが、何も調べないまま一方的に伝えるのは違うと思い、一旦京町家に詳しい建築士のUさんを紹介してもらうことになりました。

建築士のUさんとの打合せで金額踏まえたデザインの要望を伝えたところ、
やはりほぼスケルトンにして一からやり直すとなると最低でも1000万円は掛かり、プラス設備(キッチンやバス)を新しく入れるとなると、1300万近くは掛かるとのことでした。

Uさんと現場で設計図を元に打ち合わせをする様子。何もわからない僕たち親子に、町家の構造や歴史などを踏まえとても丁寧に説明してくださいました。
この時はもう何が何だか分からなくなってきており、
そんなにかかるなら一瞬全部自分でやろうかという想いもよぎりましたが、その時Kさんから掛けられた言葉にはっとしたのです。

「町家言うのはね、もともとは定期的に手直しをして、200年、300年と住めるように工夫