の中に芽生えました。
2019年12月。
家探しが振り出しに戻った僕は、またインターネットで物件を探すことになりました。
検索をしている中、価格が手ごろな1軒の不動産が目に留まります。
早速不動産屋に問い合わせ、出町柳という駅付近のその物件を、母に見学してもらいに行きました。
京都によくある両側が連棟の私有地通路(行き止まり) 当然、接道幅が狭く再建築は不可築80年超、柱は傾き、2年以上人が住んでいないその町家は、随所に傷みがみられ、2階に至っては床が完全に斜めになっていました。
奥の部屋の床が波打っているのがわかりますか?
壁はもうボロボロ。床も沈んでいます
土地付き建物付きで580万円という、東京都内では破格?の戸建てですが、
修繕費用は軽く見積もって1200万以上。
自分で直すことも考えましたが、知識も経験もなく、東京に住んでいる僕では到底難しく、一旦考えますと言ったその日の午後、
なんと他の業者から買い付けが入ったと不動産屋さんから電話がありました。
「あんな建物でも買っていく人がおるんや…」
一瞬でも気持ちが揺らいだ自分を安堵させつつ、この一軒をきっかけに、
僕の京町家への興味はますます深まっていくことになります。
その後もインターネットを中心に京町家を見ている中で、
一つの物件に目が止まります。
「京町家プロフィール取得済!5K 内部比較的綺麗 静かで住みやすい地区のお家です」
前回の出町柳で京町家の実情を見ている僕には、
比較的綺麗 住みやすい といったワードは到底信じられるものではなく、
2週間ほど熟考していたのですが、他にめぼしい物件も出てこ゚ず、
母の住まいも早く確保してあげたかったため、この物件へ内見を申し込むことにしました。
内見当日は仲介業者の方が付き添ってくれました。
町家プロフィール取得済の手頃な価格の物件とのことで胸高まります。
そんな物件の画像がこちら。
玄関からの様子。京町家の典型的間取りである”うなぎの寝床”=まっすぐな部屋の配置です。
丸桟戸と呼ばれる貴重な建具もそのまま西陣織の産地とあり、織物をかける竹がそのまま残っていました
水回りはかなり昔ながらです…
水屋と呼ばれる昔からの家具この画像を見て、ちょっとおかしいと思いませんか?壁もボロボロですが、それ以上に何かこう、傾いているような…
部屋の奥から見るとはっきり分かります。
はい、家全体が傾いているのですT-T
この画像を見る限り、ボロボロ&傾きで難しいと思いますよね?みなさん。
私も京町家の初見であればそう考えて諦めていたのかもしれないのですが、なにせ前に見た物件はもっとひどかったことと、この物件もずっと探していた中ではお得なお値段だったこと、
そして何より同行した不動産の担当者が町家にとても詳しく、非常に詳しくメリット・デメリットを説明してくれたことにより、
古めかしい町家も徐々に宝の山のように見えてき(この時点でだいぶ乗せられています)、
”他にも狙っている人がいるようです”という囁きに徐々に焦りだし(今思えば恐らく嘘です)、
一旦東京に戻りましたが、日々心がざわつき、どうしようか悩んでいたところ、
インターネットで京町家文化を残そうと活動している団体を見つけ、そこに突撃で電話をしてみることにしました。
いくつかある中で、ここがいいかな?と目星をつけた先に電話をしたところ、
電話口に出てくださった女性の方(以後Kさん)が非常に親身に対応してくれ、
なんなら一緒に物件を見てあげますよ。とまで言ってくれました。