関西大学「食の魔女」プロジェクト★海老芋ポタージュで皆を笑顔に★SDGsにも貢献

関西大学「食の魔女」プロジェクト★海老芋ポタージュで皆を笑顔に★SDGsにも貢献
関西大学商学部横山ゼミでは,廃棄される予定だった野菜を用いて,SDGsに貢献する非常食・保存食スープ,「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」を開発しました。缶詰スープ生産においては,開屋本舗(株)と食品工房(株)と協働して,缶詰ラベルは福祉事業所の障がいある方々にデザインしてもらいました。

)障がい者の働きがいと工賃問題

 (1)産地廃棄野菜問題「おいしいのに捨てられる野菜たち」

 おいしく食べられる野菜が,年間約400万トン以上もゴミとして捨てられていると言われています(海老原, 2021)*1。

 ここで,「捨てられている野菜」とは,形状が規格から外れただけで,品質や栄養にまったく問題のない野菜(規格外野菜)や,何も問題はないのに市場価格を安定させる調整(需給調整)のための廃棄が該当します。このような問題を,産地廃棄野菜問題と呼びます。産地廃棄野菜の量は,野菜生産量のうちの約3割~4割に該当しています(農林水産省,2007)。 一生懸命,愛情込めて野菜を育てている農家さんにとって,とても心が痛む問題です。私達の知らないところで,農家さんが悲しい思いをし,本来美味しく食べられる野菜が大量に捨てられていることが分かります。

 食べられる野菜をゴミとして運搬・焼却することで,必要のない二酸化炭素を排出してしまい,地球温暖化などの環境問題を引き起こす原因となってしまいます。

 私達はこの問題を多くの人々に知ってもらうきっかけを作るために,人々にとって必要不可欠であり,心に残るような,新商品の開発に乗り出しました。

 *1:海老原城一(2021)「食品ロス,廃プラ,紙おむつが抱える問題」日経ESG, 1月6日号

 (2)非常食の廃棄問題

 みなさんは普段の食事で非常食を食べたことがありますか?

 近年の相次ぐ災害で,非常食の需要は高まってきています。その一方で,賞味期限の切れた非常食が,大量に廃棄されています。例えば, 自治体が大量に備蓄している非常食,災害備蓄食料ですが,賞味期限を迎える中,引き取り手を見つけられず廃棄せざるを得ず,17自治体の過去5年間の廃棄量は176万3,600食に上っていたという調査結果が出されていたりします(毎日新聞,2016年3月24日)。このように期限を過ぎてしまった非常食が捨てられることで,食品ロスを生み出しています。

 そこで,普段から食べたいと思う,非常時まで待ちきれない,美味しい非常食を作ろうと考えました。

 (3)障がい者の働き甲斐と工賃問題

 福祉事業所のもとで就労する障害者の工賃ですが,就労継続支援事業B型の日本全国における平均月額工賃は16,369円で,時給換算すると223円となります。大阪府だけでみると,平均月額12,009円,時給164円程度となっています(厚生労働省,2019) 。このような工賃では、障害年金と合わせても生活を成り立たせることができません。

 そこで,今回,福祉事業所の「アート活動」の時間に,私達の商品デザインを考案していただき,工賃をお支払いすることにしました。やりがいのあるお仕事と工賃を倍増にすることを,目標にいたしました。
このプロジェクトで実現したいこと

 (1)私達が魔法をかけた新商品

  非常時・災害時に人々の命とココロを救うことができる,非常食の缶詰スープ(3年間の長期保存可)として「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」を開発しました。
 他社製品との飲み比べを何回も行った上で,試食を繰り返して, 非常時まで待てないくらい,めっちゃおいしい味に整えました。
 「ちょっとリッチな海老芋ポタージュ」は,常温で美味しく食べることができます。また温めれば,高級レストランで提供されるような,濃厚なポタージュスープを楽しめます。
 一家に一セットあるだけで,家族や地球,皆(忙しい現代人,農家さん,地球,障害者)が笑顔になることができ,ココロ