はじめに・ご挨拶
はじめまして、藤家溪子(フジイエケイコ)です。長年、クラシック音楽の作曲家として、オーケストラや室内楽、合唱などのために作曲してきました。2019年から、縁あって西アフリカのブルキナファソの音楽家たちと共に、現地でオペラを作るという独創的な本プロジェクトを始めて2年近くになります。プロジェクトが大きく広がり始めた今、皆様にプロジェクトのチームメンバーに加わっていただけたらと願っております。これまでの経緯と想いを綴りましたので、少し長いですが、どうぞ最後までお読みいただき、共感いただけましたらぜひ、サポーター/オブザーバーとしてプロジェクトにご参加いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以下順に、1. このプロジェクトで実現したいこと、2. やろうと思った理由、3. これまでの活動、4. 主なメンバーの紹介、5. 実施スケジュール、6. 集まった資金の使い道、7. 皆様へのリターンについて記述させていただきます。
1. このプロジェクトで実現したいこと
アフリカは日本にとってはまだまだ遠い地で、旅行で訪れる人も決して多いとは言えません。特にサヘルと呼ばれる、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域、西アフリカ諸国については未知の部分が大きいのではないでしょうか。貧困、疫病、テロリズムなどの暗いニュースは伝わってきますが、そこに息づく豊かな文化、私たち日本人も大切にしてきた共同体や家族の結びつき、厳しい自然環境や貧困を生き抜いていく力など、素晴らしい部分をもご紹介し、共有させていただきたいのです。
ブルキナファソは世界最貧国の一つに数えられています。物価は日本のざっと5分の1以下です。来たばかりの頃は、人々の貧しい暮らしぶりにかなり驚きました。 縁あって、ここでオペラ制作に取り組むことになりましたが、この国ではオペラというものはまだ知られていません。ですが私は、この国の人たちに西洋の伝統的なオペラを紹介したり、それを普及させたいと思っているのではありません。アフリカ人が書いたアフリカの物語に基づく、演劇と音楽の一体となった作品、つまりアフリカ独自のオペラの制作のために現地の人々と協働し、その誕生に立ち会いたいのです。
オペラは総合芸術で、たくさんのスタッフ – 台本、作曲、演出、舞台美術と、出演者 – 歌手、楽器演奏者、作品によっては役者やダンサーも必要ですので、いかに物価の安い国といえども、経費はそれなりに掛かります。
息子に音楽の手ほどきをするグリオ
グリオと呼ばれる人たちは、サハラ砂漠以南のいわゆるブラックアフリカと呼ばれる広大な地域、とりわけ西アフリカに存在し、先祖代々口承で豊かな音楽・芸能を継承してきました。ジャズやラップなどのルーツもここにあります。複雑かつ華麗で、しかも魂に直接響いてくるようなポリリズムのビートはブラックアフリカの音楽のよく知られた特徴ですが、コーラのような弦楽器の優雅で繊細な表現も、昨今広く知られるようになってきました。このような多種多様な音楽表現が、アフリカの苦難の多い歴史の中で、楽譜などに記述されることなく連綿と受け継がれてきたことは奇跡的であるともいえます。グリオは自分の楽器を自分で作ります。修理も自分でします。しかし、楽器を作るための材料すら買えない人も多く、その場合、演奏する時は持っている人から借りるしかありません。(プロの音楽家であるにもかかわらず、自前の楽器がないのです!) また、学校へ行っていないため読み書きのできないグリオも多く、そうなると著作権協