ていますがシンクホールが起こることで本来交わることのない地層同士が交わり、そこに含まれる成分が水中に溶け出すことでミネラル豊富な硬水が生成されます。その地下水を汲み上げビール醸造に用いることで他では真似できないビールの個性が生まれるのです。
リトアニアは湖と森に囲まれた水源が豊富な国。
ビルジャイ地方のシンクホールは観光名所(下)
美しい物から迫力ある物まで様々なシンクホール
この小さな敷地内でリトアニアビールの歴史は守られています。今回ご紹介する「リンクシュケイ」はリトアニアビール発祥のビルジャイ地方で唯一家族経営でリトアニアビールのレシピを守るブルワリーです。
リトアニアでビール造りが広まった頃は「家の数だけブルワリーがある」といわれるほど各家庭でビールが造られていました。リンクシュケイも当初は自家製ビールとして家族や近所の知人に振舞っていたものが人気となり地元の結婚式や記念日に振舞われるようになり、やがて政府のために首都ヴィリニュスまで届けられるほど有名になっていきました。
世代を超えて受け継がれてきた伝統は旧ソ連時代にも途絶えることはなく、1990年の終わりにリンクシュケイ・ブルワリーとして会社を設立すると瞬く間にリトアニア中で愛飲されるようになりました。現在もビルジャイ地方に伝わるビールの伝統を守るという使命を持って多くの人に愛されるビールを造り続けています。
小さく綺麗に整った設備で無駄と妥協の無さが伺えます。
コンピューターで醸造の状態や環境を管理。
古代のレシピと現代の技術が融合したビール造り。
ブルワリー内にはレストラン「アラウス・ケリアス」が併設されていて今回ご紹介するリトアニアビールの伝統を受け継いだ銘柄と同じ店名が付けられています。
ビールを使った料理や造り立てのビールが楽しめて地元以外からも多くの方が訪れ、食事の後にお土産にビールを買って帰ることもできる人気のレストランです。
ブルワリー併設のレストランは驚くほどオシャレ。
ビールで煮込んだ料理もアートのよう。
リトアニアビールの個性的な味を引き立てるミネラル豊富な硬水。ブルワリー敷地内に専用の井戸を掘り、シンクホールによって生成された水を地下150mから汲み上げてビール醸造に利用しています。
ブルワリー敷地内にあるシンクホールの井戸。
この天然水がビールの伝統を支えています。
味、香り、色などビールの個性を形成する麦芽にはリトアニアのモルトーサと主に北欧で採用されているバイキングモルトを採用。鮮やかな黄金色のペールモルト(淡色麦芽)から深みやコクを与えてくれるカラメルモルト(濃色麦芽/EBC300〜500)を銘柄ごとにブレンドして個性的な味を生み出しています。
ビールの苦味や香り付けに重要な役割を担うホップは一定の基準を満たした高品質のノーブルホップを採用。ハラタウア・トラディション、テトナンガー、ザーツの品種を使い分けています。スタウトやドッペルボックといったビールにはビターホップとしてヘラクレスの品種も採用されています。
伝統のレシピを守りながら北欧ならではの個性的で厳選された原料を揃えています。
発酵工程に必要不可欠な酵母はリトアニア産を採用し下面発酵(ラガー)と上面発酵(エール)で酵母を使い分けています。発酵が完了した後には毎回酵母の回収が行われています。
こだわりの原料を伝統的な工程で醸造することでリトアニアビールの味と歴史が守られています。
麦汁を発酵させてビールを醸造する様子。
発酵特有の醤油のような芳ばしい香りがしまし