2020年、新たな感染症の出現により世界中の人々が変化にさらされました。
僕らが暮らすこの山間のまちも例外ではなく、
「まちのお店」が本来持っていたはずの「居心地の良さ」は随分とおびやかされました。
毎日小さなカフェの店頭に立ちながら、ある考えが頭の中で広がりはじめました。
ーーーもし、近所の屋外空間をカフェやレストランのように設えることができたなら?
ーーーもし、それぞれのお店の商い(コンテンツ)全てを屋外に持ち出せたなら?
これは、そんな問いの先にあるかもしれない、
半歩先の未来を迎えにいく実験的なプロジェクトです。
はじめに
こんにちは。長野県佐久穂町で「ツカオ考務店」という小さな会社の代表をしています、塚原諒といいます。このたびは僕らのプロジェクトページに目を留めていただきありがとうございます!
3年と少し前、僕はこのまちの廃校となってしまった校舎を再活用してつくられる新しい小学校(現・学校法人茂来学園しなのイエナプランスクール大日向小学校)の開校準備の仕事のためにやってきました。現在は、住みはじめてすぐに夫婦ではじめたドーナツカフェ「mikko」の店主をしたり、大日向小学校で地域との連携担当をしたり、それ以外にいくつかの「企画」の仕事をさせてもらったりしています。
昨年からは「オープンエアな佐久穂の風景をつくるグループ」として、仕事や暮らしのさまざまな場面で力をお借りしてきた佐久穂町の皆さんと一緒に新しいプロジェクトをはじめました。
その名も「どこでもカフェ」プロジェクト
プロジェクトの名前はなんだって良かったのですが、どんな方にもわかりやすく僕らの考えていることをイメージしてもらえるようにと、シンプルに「どこでもカフェ」プロジェクトと名づけました。
その名の通り、このまちや近隣エリアのあらゆる「魅力ある屋外空間」を「カフェにすること」。それが僕らの夢です。具体的には、日本の中山間地で見かけない日はないほど一般的な軽トラックの荷台に、ちょっとした飲食を提供できる素敵な小屋を建てて、あちこちへ移動して屋外カフェを催していく・・・そんな構想です。
一般的に、飲食提供ができる機能を有する車両は「キッチンカー」や「フードトラック」と呼ばていることが多いと思います。ですが、それらとは提供したい体験価値がすこしだけ異なるので、僕らはこれを「モバイルカフェトラック」と定義してみることにしました。つまり「持ち運べるカフェ」です。もちろん、きちんと保健所に申請を出し、必要条件を満たした「食品移動営業車」の許可を取得する予定です。
まもなく着工予定の車両の仕様については後ほどご紹介するとして、このプロジェクトを構想するに至った経緯、特にその「なぜ」の部分についてまずはお伝えさせてください。3つあります。
WHY① 飲食店の「新しい普通」を模索したい
新型コロナウイルスによって、僕が営むカフェも昨年4月18日から6月3日まで、店舗における通常営業を休止としました。以前に比べて加速度的に変化することが求められる時代になったことを肌で感じています。
店を休んだことによって、「例年通りの売上」と「お客さんとコミュニケーションできる機会」が失われたことは大きな変化でしたが、その一方で、いつもよりも考える時間ができたこともあり、いくつもの新しいアイデアが生まれたりもしました。
たとえば、ZOOMで日本各地の家と店とを繋ぎ、いくつもの家庭と一緒にドーナツづくりを行うオンラインワークショップをやったり、店舗2Fをおひとりさま専用のワークスペース