はじめに・ご挨拶
神奈川県相模原市に本拠を置く金管楽器工房 ヒーロン です。
2020年3月の開業以来、日本人金管楽器プレイヤーが楽器を自由に楽に吹くことができて自分の音楽を最大限表現できるマウスピースを一貫して追及してきました。
特に日本の金管楽器界の次世代を担う中高校生等の若い奏者の方々のために、弊社の持てる知識や技術が少しでもお役に立てば望外の喜びです。
日本人の日本人による日本人ホルン・トランペット奏者のためのマウスピース開発・製造に向けて、どうぞ皆様のお力を貸していただければ大変ありがたく思います。
プロジェクトをやろうと思った理由
近年、日本人金管楽器奏者の演奏能力は格段に向上しました。しかし、西洋人プレーヤーの演奏表現と比べると物足りなさを感じてしまうケースも多々あります。わが国の小学校から高校までのブラスバンド人口は世界有数であり管楽器プレーヤーの裾野が広いにもかかわらず、世界の名だたるコンクール優勝者やオーケストラ奏者、あるいはソリストとして日本人の金管楽器奏者を見ることはありません。一方、弦楽器やピアノの分野では日本人プレーヤーが冠たる功績を残しています。日本人の音楽性や音楽に対する情熱が秀でているのに、なぜホルンやトランペットに関しては今一つ伸び悩むのでしょうか。
この残念な差が生じてしまう理由として二つの要因があります。一つは、人種の違いによる口周りの解剖学的な相違です。もう一つは、本来欧米人用に作られたマウスピースを自分に合わないにもかかわらず我慢して使ってしまっていることです。
西洋人の歯は出っ歯のように前に突き出ることはなく上下の歯がきれいに並びます。したがって、自然に口を閉じた状態で金管のマウスピースを口に当てても自然にフィットします。一方、日本人の歯は大きいうえにおちょぼ口であるうえ、市販のマウスピースは海外製のものが大半を占めるため、特にホルンやトランペットの小さいマウスピースほど合わないモデルを我慢して使っている方が大勢います。海外のマウスピースは、あくまでも生産国の人種プレーヤーを基準に設計・開発されており、日本人向けに作られているわけではないからです。
このプロジェクトで実現したいこと
そこで弊社 ヒーロン では、今年中に日本人プレーヤーのためのホルン・トランペットマウスピース設計・製作サービスを提供します。既に在京プロオーケストラの日本人金管奏者ならびに公的機関および大手機械メーカーの技術協力を得て、海外製のマウスピースは日本人にフィットしにくいエビデンスを蓄積しています。そこで、マウスピースのリム・カップ・スロート・バックボア・外観形状などの要素を日本人の唇や骨格に合わせて開発します。この開発にあたり、10ミクロン(0.01mm)台の高精度で設計・加工します。従来このタスクは、熟練(名人)の旋盤職人が経験とセンスにより行いましたが、お客様とのイメージの共通認識が不十分でなかなか思った通りの出来栄えにならないケースがありました。さらに、コスト的にも非常に負担になりました。
そこで弊社では、 近日中にホルン・トランペットマウスピース専門の高精度計測サービスも開始します。マウスピースの各スペックを、やはり10ミクロン(100分の1mm)台精度で電子データや紙上データに落としお客様に提供します。このサービスは世界初であり、次のようなメリットがあります。
・自分が果たしてどのようなスペックのマウスピースを使っているのか客観的に知ることができ、よりフィットするマウスピースを選択する際の比較対