は週3回、昼のみの営業でしたが、ご縁もあって善光寺表参道という大通りに移転し、4月から週5回の昼夜フルタイム営業となりました。
創業当初、店主近影
くらっちぇは小麦粉不使用のエスニック製法にこだわった本格スパイスカレーを提供し、特に鹿肉をはじめとするイノシシ、クマ、アナグマ、ハクビシンなど、長野県産ジビエ肉を積極的に使用したジビエカレーが人気でした。
ジビエに関しては日本ジビエ振興協会主催の第5回ジビエ料理コンテストにおいてくらっちぇの鹿肉カレーは、220レシピ中の上位12位に入る結果を収めるなど、躍進の一年でした。
現在では大手アパレルショップFREAK’S STOREをはじめとする企業各社から、鹿肉カレー缶詰製造のオファーをいただき、リリースに向けて準備を進めています。
それまで料理人としてのキャリアがほぼゼロだったにもかかわらず、それなりの成果をあげられた点については嬉しい限りでした。
FREAK‘S STORE長野店1周年イベントで配布されたノベルティ缶詰鹿カレー
製作中のジビエカレーの完成イメージ図
しかしその一方で、新型コロナの影響や、家賃等固定費の高さも相まり、徐々に飲食店として営業していくことが厳しくなっていきました。
結果的にくらっちぇは2021年3月末で飲食店営業を無期限休業とする苦渋の決断をしました。
この年の純利益は大幅マイナスとなり、個人事業主の私としては非常に痛い結果でした。
くらっちぇは私の私財をなげうった事業だったため、私の貯金は底を尽き、現在では鹿カレー缶詰事業の傍ら、別の店でアルバイトしながら日々食いつないでいる状況です。
数値的に見ればほぼ再起不能に見えますが、それでもなお、カリーラボ設立に挑戦したいのは、私にしかできないことがあると自負しているからです。
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お客様が来ない間、私はガラス張りの店内から道行く人たちを見ながらずっと考えていました。
『どうしたらお客さんがこの店に来る理由を作れるだろう?』
本来、店舗のあった善光寺表参道という立地は、普段から観光客も多く、善光寺花回廊、長野びんずる祭り、善光寺御開帳などといった催し事も多く開催されていたのですが、新型コロナの影響で観光客は激減、催し事は軒並み中止となり、くらっちぇのみならず、近隣の飲食店、土産物店などは大きな被害を受けていました。
『じゃあ観光客がいなかったら、どういう人が一番多く通るだろう?』
そう日々問いかけながら営業していたある日、長野県立大学の1年生の子がカレーを食べに来店しました。
話を聞いてみたところ、長野県立大学には『1年次全寮制』と『2年次海外研修』の2つに惹かれて、県外から受験してきたのことでした。ところが、肝心の入寮選考に漏れてしまい、民間のアパートになってしまったこと、このままの状況で来年の海外研修は大丈夫なのかということを心配していて、「何のために長野に来たんだろう」ということを話していました。私としては何とかこの子の在学中に『長野に来た意味』を持ち帰ってもらいたいということを強く感じました。
そう思いながら店の外を眺めていると、観光客のいない善光寺界隈で一番通るのは学生だということに気づきました。
そして、私の知らない学生たちも、店に来てくれた子と同じことを考えているかもしれない、そう考えたときに、カレー屋の枠を超えてでも私にできることはないのかと考えました。
それからくらっちぇは店の前を一番通る学生にアプローチし、『カレーが売れる店』と並行し