はじめに
宮城県石巻市の旧市街地周辺には現在、3つのギャラリーがあります。震災後できたこのギャラリーには様々な年代の作家が集まり、各々の制作を約4年間続けてきました。そして、2021年8月14日から9月26日までの毎週末、若手作家を中心に企画した展示「手つかずの庭」を開催したいと思います。
今回のプロジェクトについて、「手つかずの庭」企画者の鹿野颯斗(石巻のキワマリ荘・代表 )が、皆さまに参加ギャラリーの紹介や、私たちが考えていることなどを交えながら、お話をさせていただきます。
ご支援・ご協力の形式について
All in形式で皆様のご協力を得て、この展示を開催したいと考えております。達成額に相当しない場合でも、いただいたご支援・ご協力を有効に活用し、企画展を開催いたします。
今、この街で私たちが企画展をする意味とは何か
石巻には現在、いくつかのギャラリーがあります。その中でも、今回の企画展に参加する、「石巻のキワマリ荘」、「ART DRUG CENTER」、「THE ROOMERS’ GARDEN」の3つのギャラリーは、石巻駅から徒歩数分の場所に位置しています。
▲3つのギャラリーはそれぞれ徒歩5分くらいの距離
この3つのギャラリーは、石巻市でも「旧市街地」と呼ばれるエリアに存在し、近隣には江戸時代から続く陶器店や、代々続いている商店や喫茶店、居酒屋、震災以降に設立された団体の事務所やライブハウス、貸本屋などがあります。
▲寿通りの現在の様子。写真右手側のライブハウスでイベントがある時は周辺に若者が溢れ返ることも
▲毎年行われている石巻川開き祭の様子。新型コロナ感染症の影響で2020年、2021年は開催せず。▲石巻アイトピア通りの様子。▲石巻で江戸時代に施工された元百貨店「旧観慶丸商店」の一階では朗読・演劇なども盛んだ。
昔は商店街として栄えていましたが、震災以前より街の人口減少、少子高齢化などが進み、だんだんと街の活気が失われていきました。
2011年の東日本大震災により、石巻は海沿いを中心に甚大な被害を受けました。震災をきっかけに、ボランティアや地域活性化などの活動はそれ以前より活発に行われ、石巻でも一時は街中でのイベントや、新しい取り組み、新事業やプロジェクトの立ち上げなどが活発に行われていました。しかし、震災から年数が経過したこと、また、新型感染症の流行などにより、ここ2,3年、また街はひっそりとし始めています。
▲石巻のキワマリ荘へ続くレンガ道・サルコヤは長年石巻で愛されてきたおもちゃ屋兼楽器店でもある。
私たちの企画展は、賑やかしのためのイベントではありません。また、何か功績を残したい、などという目的でもありません。
震災後、この街では先ほど述べたように様々な活動が行われてきました。そして各々の街への関わりや、地元の人との交流、この街の風景、ここであった出来事との交わりの中で、たくさんの人たちが街へ訪れ、街から去り 、またはずっとここに居続けることを選んだりしながら、「街との関係性」は育まれてきました。そのような動きの中で複雑化し、膠着した街のイメージも同時に生まれてきました。
私たちはこの企画展を通して、この街の複雑に絡まった線を、一つずつ解いていきたい、と考えています。
この企画展を開催するにあたり「この街で何ができるだろう、この街のために何ができるだろう」と問われ続けてきた場所で、「この街のためになにかする」ということや、「震災の当事者、非当事者」ということに固執せず、各々のアーティストが制作をす