西陣織を使ったファッションブランド「ofuku'(オフク)」で世界の女性に雇用を

西陣織を使ったファッションブランド「ofuku'(オフク)」で世界の女性に雇用を
世界には食べることも布団で寝ることもままならない子どもたちがいます。そんな子どもたちを救うために思いついたのは、お金や物品を届ける一時的な支援でなく、ファッションブランドを立ち上げ多くの若者や女性に雇用を生み出すこと。衰退する日本の伝統素材を取り入れたジャパンブランドの洋服を世界に発信していきます。

フィリピンの子どもたちと

はじめまして。「ofuku’(オフク)」代表の小西美由紀です。現在、大阪で子育て支援のNPO法人と働きづらさを抱える母親のための株式会社を運営しています。

私は大学生の時にバックパックを背負い、20カ国以上を旅しました。乳飲み子を抱えて駅の構内で物乞いをする女性、路上で暮らすストリートチルドレン。日本では考えられない光景に衝撃を受けました。

写真はイメージです

それから25年後、我が子を連れて海外旅行をするようになり、大学生の時と何も変わっていない光景に再びショックを受けました。
そして、2年前にフィリピンを旅行し、帰国のため朝食を済ませてホテルを出ると、息子と同じ年頃の少年がホテルの前に座り、やせ細った手に紙コップを持って物乞いをしていたのです。「一緒に飛行機に乗せてあげて、日本で家族になって暮らそうよ、ママ」と息子は言いました。
誰も置き去りにされない世の中を作るためにできることは何か

その翌年にタイを旅行し、お土産店で一枚の素敵なリゾートワンピースを800円で購入しました。持ち帰ってホテルのクローゼットに掛けた時、その隣には芸能人御用達ハワイアンブランドで買った15,000円のリゾートワンピースが掛けてありました。

もちろん縫製やデザインに差はあるものの、同じコットン素材で見た目は同じようなワンピースも、ブランディング次第でここまで違うものになる!
ファッションブランドを立ち上げるという壮大な計画を胸に、日本に帰国しました。
モノやヒトとの協働が唯一無二のブランドを育てる

ただし、淘汰が進むアパレル業界に知識も何もない私が乗り込むためには、唯一無二のブランドでなければなりません。

そんな時、たまたま友人にいただいたのが一枚の西陣織の風呂敷でした。西陣織というと絹織物のイメージですが、その風呂敷のタグには綿100%と書かれていたのです。

上羽機業株式会社の京丹後工場にて。上羽泰弘社長にお話を伺いました

早速、その販売元である京都の「上羽機業株式会社」を訪ねました。その後、京丹後の工場も見学させていただき、着物文化が衰退する中で、伝統の技術はそのままに「洋」への転換を遂げられており、様々な色の綿生地に生える伝統文様がとても新鮮に感じられ、その美しさにすっかり魅せられてしまいます。

吉祥文様の「牡丹唐草文様」

多くの伝統産業は後継者不足に悩んでおり、衰退の一途をたどっています。毎回のコレクションでそのような伝統的な和素材にスポットを当て、日本の伝統産業の美しさを世界に発信していきます。

ようやく素材が決まったところで、服作りの知識が皆無の私は何をすればいいのかもわからず途方にくれていました。友人に相談したところ、「バンタンデザイン研究所」に繋げていただき、ファッションビジネス・デザインを勉強する学生さんとの協働がスタートしました。「服は福」という意味の「ofuku’」というブランド名も学生さんに名付けてもらいました。

今後もモデルやデザイナーの起用など、様々な国の若者とコラボレーションしていきます。

バンタンデザイン研究所 大阪校にて

その後、国内縫製工場にも伴走していただき、初回コレクションの撮影は、世界遺産の大覚寺で撮影させていただくという幸運にも恵まれました。

京都・大覚寺での動画&スチール撮影

一時的な支援でなく、雇用を生み出すことで永続的にサポート

貧困問題の解消には様々な手段がありますが、「ofuku’」が目指すのは、金銭や物品を送るだけの一時的な支援でなく、縫製や販