命の起源、母と海を守りたい。 “産み”と“海”のドキュメンタリーを世界へ

命の起源、母と海を守りたい。 “産み”と“海”のドキュメンタリーを世界へ
フリーダイバーで女優の福本幸子は、2019年、彼女のパートナーでありフリーダイバー世界チャンピオンのウィリアム・トゥルブリッジともに出産先進国として知られる彼の故郷NZで、念願の自宅での水中出産を経験。この様子に追った短編『Water Baby』の続編、『Pacific Mother』の製作が決定!

『Pacific Mother』の重要な登場人物であるハワイのKimiも、我が子を救うために葛藤しながらも、予定外の医療行為を自らの判断で受け入れました。

彼女は自身のお産を振り返り「素晴らしかった」と言います。近い将来、自分の息子に、そのバース・ストーリーをポジティブな言葉で伝えることでしょう。

〈ハワイ在住のKimiは、全米素潜り漁チャンピオン。Patagoniaアンバサダーとしても活躍〉

そして、バース・ストーリーの登場人物は、母と子だけではありません。「バースパートナー」の存在が大きな力となります。

NZ先住民マオリの伝統的な出産では、男性が子を取り上げるのは普通のことでした(太平洋諸島にも同じ文化がある)。さらに、彼らには「We are pregnant(私たちは妊娠している)」という考え方があります。

これは、妊娠・出産・育児とは「妊婦ひとりで担うものではなく、バースバートナーはもちろん、家族やコミュニティで支えるもの」という意味。もし、そんな社会だったら、母たちは孤独を感じることも、過剰な負担に苦しむこともないでしょう。

ちなみにバースパートナーは、夫や男性に限りません。性別も、産む人との関係性も自由です。

助産師でも、ドゥーラでも、親友でも、産む人の母親でも、心から信頼できて身を任せる相手であれば、誰でもいいのです。ジェンダーが多様化し、シングルマザーが増える社会においては、この自由なバースパートナーの考え方は多くのママを救うと信じています。

すべての出産が特別で、一つとして同じものはありません。

今ここで改めて、私たちの命を育んでくれた母のことを思い出し、感謝の言葉を口にしてみませんか?

〈Ravaとバースパートナー、満月の夜、波のない自宅庭のビーチで誕生した奇跡の子〉

さてここでもう一度、さっちゃんにバトンを戻したいと思います。

だいすけさんからバトンを受け取りました、福本幸子です。

生命の誕生とは、人生において最も尊いイベント。
選択肢が与えられ、心から安心できるお産は、女性の基本的人権。

私はそう思っています。

ここで、尊敬するフェミニストであり三児のビッグママ、長編でも監督を務めてくれるキャシーの言葉を紹介させてください。

「出産とは本来、女性にポジティブなパワーを与えるもの。でも、妊婦の権利が守られない状況でお産を迎えてしまい、多くの母が〝バース・トラウマ〟を抱えてしまっている。妊娠・出産・育子を通して女性を手厚くサポートできれば、母親と家族の人生にポジティブな影響を与えると、世界保健機関(WHO)によって証明されています。

1990年代、NZの女性たちは団結して、助産師主導で妊婦をサポートする画期的なLMC制度(※9)を勝ち取りました。日本を含む他国の助産師たちは、このモデルを参考にして、それぞれの国の制度に変化をもたらそうとしています。私は『Pacific Mother』を通して、そんな活動をエンパワーしたいのです」

「女性に、母親に優しい世の中を作ることが、海に、地球に優しい世の中につながっていく」
「女性が正確な情報を得た上で、産み方を自由に選び、万全のサポートを受けられれば、妊娠・出産はポジティブになる」

この考えに賛同してくださる方はとても多いと思います。

「ポジティブなお産」とは、病院でも自宅でも、医療介入のあるなしは関係ありません。産む人が自分の意志で選択し、生まれる子にとって安全であれば、病院での帝王切開でも、ホームバースでも、海で産んでもいいと思っています。