動物たちに「より豊かで幸せな日々」を届けるため、屠体給餌をサポートしてください!

動物たちに「より豊かで幸せな日々」を届けるため、屠体給餌をサポートしてください!
動物たちの生活の質の向上と千葉県が抱える害獣問題への理解促進を目指すため【屠体給餌(とたいきゅうじ)】という新たな取り組みを始めます。この取り組みを通じて、①動物福祉 ②野生本来の生態 ③地域の害獣問題について学び、考える機会を提供し、野生動物を含む自然環境、地球全体を守れる活動につなげていきます!

を行い、獲物を捕らえ、牙や舌、顎などを使って、ひきちぎる、かみ砕く、しゃぶる、剥ぐ、などして採食を行います。しかし動物園で飼育下にある肉食動物の食べる肉(馬肉など)は処理・加工、カットされた正肉状態で、野生本来の採食行動が発現されないばかりか、採食に費やす時間も短く、結果的に動物たちには退屈な時間が増えることになります。つまり、生きるために必要な栄養は満たせるのですが、彼らが豊かにイキイキと暮らすために欠かせない、もう1つとても重要な、‶野生本来の行動“ が足りていないのです。

「屠体給餌」は衛生的かつナチュラルな生に近い、毛や骨が付いたままの肉を与えることで、本来の生態を発現し、幸福状態を引き出すことが狙いです。欧米の動物園・水族館でその実践効果が認められ、国内でも既に他園において多数の先行事例があり、成果が認められています。

「屠体給餌」、それは「動物たちに、より豊かで幸せな日々を過ごして欲しい!」との思いを実現する具体的な取り組みなのです。

◆社会問題化している「獣害」についても考えてみる

昨年、当園の動物科学館に「動物園で考古学」コーナーを設置しました。人類は、環境から影響を受け、また環境に働きかけて生活を営み、文化や社会を育んできました。また当園が『餅ヶ崎遺跡』と呼ばれる遺跡の跡地に建てられていることから、現代の我々の文化や生活の礎である古代人の生活の営みを学ぶとともに、石器時代から縄文時代のヒトと動物との関係の歴史を紐解くことで、「現代に生きるヒトと動物がともに住みやすい環境づくり」について考えることをテーマとしています。遺跡からはさまざまな生き物を模った作品が出土しており、なかでも比較的数多く作られたのがイノシシやヘビ、鳥で、「動物園で考古学」コーナーでは、イノシシやシカを模った見事な造形美の出土品を展示しています。

現在の千葉市土気地域から日光・足尾山麓へ、また房総丘陵へとつながる自然道がシカの集団移動のルートであり、千葉の平地部である「下総台地」が歴史的に野生動物の宝庫であったことが知られています。古代の昔から、私たちの祖先は、日々の営みにおいて、命あるものを捕獲・採取する一方、それへの親近感や感謝の気持ちを生活の規範としてきたと言えます。そのなかでも関わりの大きかった1つがイノシシです。わが国最初の勅撰(ちょくせん)史書『日本書紀』では、渡来人がイノシシを飼ってその肉を食べていたという記述があり、現存する最古の歴史書『古事記』や最古の歌集『万葉集』にも「猪飼(いかい)」と言う猪を飼う職業が頻繁に出てくるようですし、江戸時代にはイノシシの肉を食す「山くじら」「薬食い」が流行ったそうです。

一方、今日、動物との関係は一部社会問題化しています。「獣害」と言われるものです。たとえばイノシシは県内でも年間の農作被害2億円、捕獲数2万頭超ですが、そのほとんどが埋設または、一般廃棄物として処理されており、加害獣被害の拡大と処理費用の増大などが課題となっているのです。

◆「動物福祉」と「獣害」対策とを繫ぐ「屠体給餌」  ~実施に必要な対策とパートナーシップ

有害鳥獣として駆除された動物(屠体)を肉食動物に給餌させることで、「環境エンリッチメント」と「獣害」対策とを両立させるスキーム、それが「屠体給餌」なのです。

野生動物は、徹底的に管理された家畜と違い、寄生虫や細菌・ウイルスなどを保持していることも多い為、それらを給餌させるには、鉛中毒、寄生虫、細菌類・ウイルス類を排除する適切な処理を行なければなりません。

国内において