はじめに・ご挨拶
千葉市動物公園から、こんにちは!
私たち、千葉市動物公園(千葉県千葉市若葉区)は、緑に囲まれた自然いっぱいの動物公園で、レッサーパンダの風太くんファミリーをはじめ、地上最速の動物 チーターや、とてもキュートな ブチハイエナ、迫力たっぷりのライオンや、ゾウ・キリン、動かない鳥として有名なハシビロコウ、我が国有数の飼育数を誇る多彩なサルの仲間たちなど、動物が自然に近い状態でのびのびと飼育されています。
そして、アフリカなどの草原をイメージした平原ゾーン、モンキーゾーン、小動物ゾーン、鳥類・水系ゾーン、ふれあい動物の里、こども動物園、動物科学館と7つのゾーンに分けられているので、動物たちをゆったりと、見て楽しんでいただくことができるのも当園の魅力の一つです。
園内は、動物好きな皆様や、子どもたちの笑顔と、笑い声で溢れています。
そんなみんなの笑顔を引き出してくれる動物たちに「より豊かで 幸せな日々を 過ごして欲しい!」という願いと想いを込めて、新しい取り組みをすることにしました。
「屠体給餌(とたいきゅうじ)」です。
このプロジェクトでは、私たちが日々愛情を注いでいるライオンと、ハイエナに「屠体給餌」という活動を通じて、飼育動物の QOL「生活の質の向上」と、千葉県が抱える「害獣問題への理解促進」を目指していきます。
より多くの皆様にこの活動を知っていただき、動物ファンの皆さんに、支援していただけたら嬉しいです!今回のプロジェクトのご紹介動画を、動物たちと一緒につくりましたので、ぜひご覧ください。
屠体給餌という言葉をご存知でしたか?
飼育員が驚いた
「こんな姿で食べるのを初めて見た」
千葉県では、野生のシカやイノシシによる農作物への被害だけではなく、人を襲ったりするなど、深刻な被害が起きており、有害鳥獣として駆除されています。
千葉市動物公園では、屠殺(とさつ)された命を無駄にしないよう、肉食動物であるライオンとハイエナに、毛皮や骨などがついた肉を与え、「環境エンリッチメント」という取り組みを推進していきます。
喉を鳴らしながら肉を舐めまわす行動。
普段の正肉給餌では見ることができません。
環境エンリッチメントとは、簡単に言うと「動物たちの暮らしを豊かにする」ことです。
野生動物は本来、それぞれが持つ生態の特徴を生かし、自ら狩りを行い、獲物を捕らえ、牙や舌、顎などを使って、ひきちぎる、かみ砕く、しゃぶる、剥ぐ、などして採食を行います。
しかし、動物園で飼育下にある肉食動物が食べる肉は、スーパーで売っているものと同様で、処理・加工された正肉状態です。
野生本来の採食行動が発現されないばかりか、採食に費やす時間も短く、結果的に動物たちに退屈な時間が増えているのが現状です。
つまり、生きるために必要な栄養は満たすことができますが、動物たちが 豊かにイキイキと暮らすために欠かせない、とても重要な「野生本来の行動が足りていない」のです。
肉食動物に対して、屠殺された動物の毛皮や骨などがついたままの肉を与えることで、本来の生態を発現し、動物たちの幸福状態を引き出すことができる新しい取り組みとなります。
欧米の動物園・水族館でその実践効果が認められ、国内でも他園において多数の先行事例があり、成果が認められています。
当園で試験的に実施した時も、普段は直ぐに食べつくしてしまうライオンが、肉の塊を抱え込み、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、舌で舐め回しながら時間をかけて食事をする姿が観察でき、長く世話をしてきている飼育担当者