立山の片隅に「幸せの牧場」をつくろう 白雪牧場補完計画2021

立山の片隅に「幸せの牧場」をつくろう 白雪牧場補完計画2021
「白雪牧場」は、立山の田園にある小さな手作り牧場です。牧場には二頭の親子ポニーがいて、広々とした原っぱで草を食べながら、親子で仲良くのんびり過ごしています。願いは人と馬が紡ぐ幸せの牧場であること。ポニー親子と訪れる人たちが幸せに過ごせる場を、百姓の工夫と村人の力を合わせて創っていきます。

術」ー 農芸文化の拠点として

ポニーの放牧場がある新瀬戸・末谷口地区は、東に立山連峰、西に富山平野を見渡す、風光明媚な田園地帯です。粘土質の土壌と立山連峰に育まれた水に恵まれ、古くから農業だけでなく、陶芸(越中瀬戸焼)と瓦焼が行われてきた陶農の里です。400年以上もの歴史ある越中瀬戸焼を育んだ田園地帯では、農芸一体の暮らしが営まれ、どこか文化的な香りが漂っています。

陶農の里に広がる田園風景

この田園を舞台に、白雪牧場では様々な表現者を招いたイベントを毎年行っていきます。2020年には近くにある雑貨・カフェ「巣巣」さんの協力を得て初めてのオープンファームイベントを行いましたが、今年も秋のSDGsウィークの日曜日にあたる9月26日に、新たにアーティストを招いたイベントの企画準備を進めております。

また、屋外の自由な制作環境を求めて、つながりのあるガラス作家さんが材料づくりを牧場コンテナで行ったりと、工芸に携わる作家さんとの接点も生まれています。より長い時間を快適に過ごせる環境が出来れば、制作活動の場として活用される機会も広がります。また、縁のある工芸作家さんを招いて、ちょっとしたワークショップを行う構想もあります。表現と制作の場として、田園の農芸文化の深まりに貢献できればと思います。

③「有機農業」ー 立山オーガニックビレッジ

牧場のある大善寺地区は、多くが耕作放棄地です。そこでは長年農薬が散布されておらず、農業用水の最上流にあって用水への農薬混入もないことから、農薬の影響を受けにくい環境です。獣害という課題はありますが、農薬との関係でいえば、有機農業をやる上でとても魅力的な環境です。

こうした環境を活かして、白雪農園だけでなく、地域の有志が参加する「立山結の会」が無農薬でお米を育てる取り組みをはじめています。「立山結の会」と「白雪農園」が協力して有機農業を実践し、また新たな有機農業の実践者の誘致も視野に入れながら、将来的に有機農業の里「立山オーガニックビレッジ」として育てる未来を描いております。農業体験やマルシェで農村外からも人を集める場として白雪牧場を活用しながら、一帯の有機農業の振興につなげていきます。

保育園のさつまいもほり

田植え

④「障がいのある子供たち」ー 集まり遊び活躍する場

ところで、我が家の1歳になる三女はダウン症です。ダウン症の三女の縁で、ダウン症の子供たちが親子でやってきたり、発達障害児を預かる学童施設の子供たちが遊びに来たりと、障がいのある子供たちとの接点が少しずつ生まれています。これからも、様々な障がいのある子たちが、集まり遊ぶ場として牧場を活用していきます。また、遊び場としてだけでなく、馬のお世話や農作業を手伝ったり、「エイブルアート」(障がい者芸術)の制作と展示を行ったりと、障害のある子たちが活躍する機会をつくることも将来構想の大きな柱です。

白雪牧場は、地域におけるこうした「遊び」「芸術」「有機農業」「障がいのある子」の四つの可能性を探求・実践していく場となります。白雪牧場での活動は小さな規模でのものになりますが、様々な可能性を開拓し現実のものとして提示することで、陶農の里の新たな伝統創りと「村おこし」につなげていきます。
最後に

前段ではやや大きな絵の中で白雪牧場を語りました。もしかしたら、大がかりで賑やかな牧場を想像されるかもしれません。もちろん、イベントなど人が沢山集まって賑いを見せる時もありますが、普段の牧場には、二頭の親子ポニーが草を食べながら、親子でのんびり仲良く過ごす姿がある