自殺予防や災害時のメンタルケアの備えのために―「社会抑うつ度調査」をスタート

自殺予防や災害時のメンタルケアの備えのために―「社会抑うつ度調査」をスタート
「社会抑うつ度調査」は人々のストレス状況を測るプロジェクトです。例えば、コロナ禍で行われた調査では高齢者より若者の方がストレスや孤独感を感じていることがわかりました。「だれが」「どんな風に」ストレス下にあるかをデータで継続的に明らかにすることで、自殺予防や災害時のメンタルケアの備えとなるのです。

「社会抑うつ度調査」を行う社会調査支援機構チキラボは、評論家 荻上チキとPRの専門家 若林直子が立ち上げた一般社団法人です。

ハラスメント、人権侵害、差別など、世の中にある様々な社会課題を調査によって可視化。「当事者はどれくらいいるのか。」「どんな実態があるのか。」「効果的な施策は何か。」etc…を明らかにします。さらに、それを広報・PRによって多くの人に知ってもらい、問題意識を共有。そして、法改正など具体的に社会を動かすアクションにつなげていきます。

これまでに実施したプロジェクトの例

「ストップ!つきまといプロジェクト」
ストーカー規制法改正を求め、ストーカー被害の実態調査と記者会見を行いました。現行のストーカー規制法に足りていないものは何なのかが調査により明らかになり、その調査結果と課題意識はメディアを通じて広く社会に共有されました。
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「表現の現場におけるハラスメント実態調査」(調査・広報協力)
美術家等により発足された「表現の現場調査団」が実施した「表現に関わる人々を対象としたハラスメント実態調査」に対し、チキラボは調査及びPRのサポートを行いました。
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「社会抑うつ度調査」とは、アンケート調査と分析で社会のストレス度を測る調査です。

近年、メンタルヘルスは社会全体で考えるべき課題となっています。コロナ禍では女性、若者の自殺が増加した、うつ症状を訴える人が増えたとも言われています。このような課題に対して効果的なケアや対策を行うためには、ストレスにさらされている人々の実態を正確に把握することが不可欠です。

「社会抑うつ度調査」 では、人々に生活行動や関心事等についてアンケートを行い、その結果を分析することで

どこで

どんな人が

何に対して

どれくらい

ストレスを感じているかを明らかにすることができます。

早稲田大学 上田路子准教授らが2020年4月から2021年2月にかけて一般市民1000人を対象に毎月実施した「社会抑うつ度調査」では、コロナ下における人々の抑うつ状態や孤独感、感染予防行動などについて調査を行いました。
その結果、例えばコロナ下では高齢者よりも若者のほうがこころの健康状態が悪く、孤独感も強く感じているということが明らかになりました。また、定期的に調査を行うことで、感染状況や社会情勢の変化が人々の状態や行動にどのような影響を与えたかを理解することにもつながりました。

新型コロナ感染症の影響に限らず、ある時点において人々がどのような状態に置かれているかを正確に把握するためには、このように継続的に調査を実施していくことが不可欠です。チキラボでは、上田准教授から調査を引き継ぎ、10年の継続を目指したいと考えています。
調査の流れと結果の公開

アンケート調査と分析は毎月行い、月毎に結果を公開します。さらに、1年間継続する中で見えてきたこと等を年次レポート(白書)として公開します。

①毎月のアンケート調査とその分析
②月次レポート公開
③年次レポート(白書)作成・公開
課題解決のための「ものさし」に

「社会抑うつ度調査」は、政策や世の中の仕組みを作っていく際の「ものさし」になります。
「自殺対策」「メンタルヘルス」 「労働環境の改善」といった、客観的なデータをもとに考えることが難しいとされている社会課題に対して、何をどう変えていけばよいのか、データをもとに具体的に議論することができるようになります。
そして、ニーズに合った適切な政策が行われることによって、社会全体