なものです。ですので自分で研ぐにしろ、研いでもらうにしろ、メンテナンス性の高さは非常に重要です。
最高温度1100℃にもなる連続式光輝熱処理機(有限会社コバヤシヒーティング)VG-10は熱処理により硬度61~62まで高めることもできますが、この包丁では敢えて硬度59.5に調整しております。これが私たちがたどり着いた、ステンレス包丁の硬度の理想です。徹底した熱処理に加え、液体窒素で超低温にするサブゼロ処理を施し、金属の性質を分子レベルで完全に硬質化させることで、非常に緻密な材質に仕上げております。ロックウェル硬さ試験機(有限会社コバヤシヒーティング)
さらに、VG-10全鋼での包丁製造はスミカマでなければ実現不可能な高次元の技術であると言っても過言ではありません。一般的なステンレス包丁は、大きな1枚の鋼板からプレス(型抜き)→焼入れ→形作り(研削)の順で作られますが、VG-10無垢材はクラッド材とは違い、鋼材全てが非常に硬く、加工がとても困難なため、他メーカーさんでは、プレス→形作り→焼入れと、焼入れ前の柔らかい生材の状態で削り、その後焼入れを行うことで加工を簡単にしているのが現実です。
しかし、研削後ブレードの厚みが揃っていない状態だと、焼入れの際にムラが発生し、鋼材の性能を最大限に引き出せなくなってしまいます。要となる『縦型NC研削機』で0.17mmまで研削される(株式会社スミカマ)スミカマでは、VG-10全鋼の高性能な包丁を製造するために、高硬度の鋼材を精密に研削調整が可能な最新機材を導入した上で、これまで長年に渡り習得した知識・技術を集結、 試行錯誤を繰り返したことで他社には真似できない、最高峰ステータスのVG-10全鋼包丁を作り上げることができるようになったのです。
大西が使いながら仕上げた右7:左3の刃付け(忍砥石#2000→#6000)
ブレードの形状
~『厚み』と『側面抵抗』を考える~
スミカマの包丁の最大の特徴は、最先端の加工技術と理論で作り出す『形状』です。
ブレードの厚みが根本から先端にかけて、緩やかなテーパー状に薄くなっていることで、
柔らかい食材を”引いて切る”時には抜けが良くなり、硬い食材を”押して切る”時には食材を割く力が強くなり、食材に触れる面積が減ることで側面抵抗が減り、
◇切るために必要な力が減る(引くだけで切れている感覚)
◇食材の断面に摩擦ダメージを与えず、雑味を出さずに味・香り・らしさを最大限活かす。
和包丁では基本的な考え方ですが、洋包丁で厚さの変化・側面抵抗にこだわっている商品は少ないと感じています。根本から先端にかけて薄くなり
峰は丸く研がれている牛刀の刃線は先端にかけて、通常の三徳包丁よりもやや大きめの弧を描いております。この”そり”を使うことで、鳥の皮や刺身などの『切り離し』がキレイに決まります。
刃先から刃元にかけて厚み、反りが変わってくるので様々な表情を見せてくれます。
さらに、峰部分は角を取って磨き上げ、指当たりが優しくなり美しく仕上げております。
刃付け
~先端1/1000mmの刃付けと『極小』のはまぐり刃~
ブレードは強度を保ちながらも、全体を薄く仕上げ非常に鋭角な刃先になっています。
そのごく先端をわずか1/1000mmにまで職人が研ぎ上げることで凄まじい切れ味を実現しています。
さらに、側面と刃のわずかな段差をゆるやかな曲線になるよう磨き上げることで
食材自身を”切り開く”力が生まれ、側面抵抗が減り、切り離れが良くなり、先端にかかる負荷も減るために刃持ちも良くなりま