ご挨拶
みなさま、はじめまして。山田将史(やまだまさふみ)と申します。鉄道を中心とした旅の本を作る鉄道旅行作家などの活動をしております。
さて突然ですが、みなさまは北海道から多数の小駅がなくなっていることをご存じでしょうか。北海道新幹線が開業した2016年以来、毎年駅が廃止されその数は2021年4月までで95駅にも及びます。もともとJR北海道にあった駅が450駅ほどなので、約20%、5駅に1駅の割合で廃止されています。これは、全国的に見てもあまりにも多すぎる数です。
都会に住んでいる方は「鉄道(電車)が衰退している」と言われても信じられないかもしれません。しかし全国的に見てみるとだいたい1960年代から70年代頃をピークとして、利用者も路線の総距離も減り続けています。人口が減っていること、誰しも自動車を買えるようになったことなどが主な理由です。とりわけ北海道は厳しい状況に置かれており、特に冬場の除雪作業にかかる維持費はあまりに多大で、感染症拡大で利用者が大幅に減るよりも”前”から全線赤字でした(つまり、走らせれば走らせるほど赤字が増えます。感染症拡大で利用者が減って列車を運休したために逆に赤字幅が縮小したくらいです)。
列車やバスの本数が何本くらいだと「少ない」とみなさんは感じるでしょうか?1時間に1本だと少ないと思うでしょうか?あるいは、30分に1本くらい?私は2時間に1本くらいでも(旅する上では)わりと多いと思っています。
これは2021年3月になくなったある駅の時刻表です。1日に、下りが3本、上りが4本。なくなった駅はどれもこんな感じの時刻表でした(ここに来たときは7:24の列車で到着し、11:10の列車で出発しました)。北海道ではこのような本数は全く珍しくありません。では、誰が使っているのか?発表によればこの駅は「1日の乗車人数1.2人」でした。0.0人という駅もあります。つまり誰も使っていないということなのです。けれど最初から使われていないわけではありませんでした。
企画を通して目指すところ
北海道の小駅はどれも美しいものばかりです。かつて人々が集い思いを運んだ駅が、今は役目を終えて姿を消していく。そういった駅を感じたくて、これまで北海道に限らずなくなることが決まった駅には全て列車で訪れていました。そして、2016年、北海道から多数の駅(8駅)がなくなったことをきっかけに、最後の様子を追った旅行写真集「北海道の廃駅2016」を制作しました。おかげさまで、手に取っていただいた方に喜んでいただくことができました。その後「北海道の廃駅2017」も制作しましたが、今年2021年、過去最多の18駅が一気に廃止されることになり、あらためて「北海道の廃駅2021」を企画した次第であります。
このような小駅のことは、まだまだ多くの人には知られていません。そして残念ながら、本を制作し多くの人の手に取ってもらえたとしても、駅を残せるほどの力にはなれません。けれどまず知ってもらうこと。知ってもらわなければ始まらない、知ってもらうことで何かのきっかけになるかもしれない。そんな思いで、今年もまた「北海道の廃駅」の最後の姿を追いかけた写真集を制作します。
なぜクラウドファンディングを実施するのか
クラウドファンディングで写真集の制作費用を集めようとしたのはこれが最初ではありません。
北海道の廃駅の最期を記録した写真集をつくりたい – https://camp-fire.jp/projects/5866/activities/11446
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