仏ミシュラン三ツ星店で修行したシェフ渾身の「わかやまジビエパイ」を届けたい!

仏ミシュラン三ツ星店で修行したシェフ渾身の「わかやまジビエパイ」を届けたい!
県の3/4が山という森林県、和歌山ではイノシシやシカによる被害が深刻な問題となり、年間2万頭ものイノシシが捕獲されています。ジビエはフレンチでは高級食材。なんとか有効活用しようと三ツ星フレンチで修行したシェフが奮起! その末に山の恵みとこだわり野菜、フレンチの技が一体となった絶品パイが完成しました。

たシカやイノシシは寒さで痩せこけることがなく、脂を蓄えつつも身が引き締まり、噛むたびに旨みが広がる奥深い美味です。

正しく処理し、調理すればこれ以上なくおいしい料理になるジビエ。でもかつて適切な処理がされていないイノシシやシカを食べたことのある世代の方たちは、イノシシと聞くだけで拒否反応を示します。そのイメージは生臭く、おいしくないというものです。
そんな方たちにこそ、ぜひ本来のジビエのおいしさを知ってもらいたい!

食の宝庫、和歌山の生産者を悩ませ、時に耕作放棄の原因ともなる獣害問題に切り込み、少しでもジビエの流通をさせたい、そして同時にジビエのおいしさを発信し、和歌山の新たな食文化を作りたい。そう考えたことが今回のプロジェクトの出発点でした。

イノシシと言えば、ぼたん鍋や焼肉が定番。もっといろんな年代の方たちが、みんなで気軽に食べられるものってなんだろう。理想はおばあちゃんやおじいちゃんが孫と一緒に食べられるものを。そう考えた時に浮かんだのが、以前留学していたオーストラリアで国民食として食べられていたミートパイでした。

オーストラリアでは一概にミートパイと言ってもいろんな種類があり、家庭ごとの味があると言っても過言ではありません。小腹が空いた時にぴったりで、食事にもおやつにもなる、ハンバーガーや肉まんのような位置付けといえばわかりやすいかもしれません。またはスーパーやコンビニにも気軽に並んでいることから、日本でいうおにぎりのような感覚でしょうか。

とはいっても、和歌山ではなかなか馴染みの少ない食べ物です。だからこそ新たな食文化になりうるのではないかと考えました。今ないからこそ、選択肢は無限大。まずはシェフにミートパイの食文化を感じてもらうべく、今回のミートパイ開発のためにシドニーを訪れ、試食を重ねてきました。現地のパイは生地が厚くフォークとナイフを使うタイプです。ですが、日本人になじむよう、食べ応えと大きさのバランスを試行錯誤。
目指したのは片手で食べられる“新しいファーストフード”です。

日本でも食べ歩いてみたものの、パイ生地の比率が高く、物足りなさを感じる商品が多いように感じました。私たちの作るパイは、ジビエ肉のおいしさを味わってもらうため、ぎっしりとお肉を詰めています。原価は安くしたいところですが、それよりも満足してもらいたい!というのが最優先!

また中身も試行錯誤の末、濃厚な地元のトマトと原木しいたけを用い、赤ワインやデミグラスソースで味つけるフランス料理の技法をアレンジ。クスクスとクミンで軽いカレー風味をつけて親しみやすい味わいに仕上げました。日本サイズで小ぶりながら1個でしっかりと腹持ちよく。これをスタッフの娘のはなちゃんに真っ先に食べてもらったところ「おいしい!!」と大好評!

小さい子が抵抗なく食べられる味ということは、きっとあらゆる世代の人に受け入れてもらえるはず、と確信した瞬間でした。

また雇用促進を考え、作業工程は高校生のバイトや主婦のパートさんたちでもレシピを元に作れるようにしています。これは「地元のみんなで作る」ことに意味があると思っているからです。命懸けでイノシシを捕獲してくれる猟師さん、丹精込めて野菜を作る農家さん。そして、パイを包んでくれる高校生やパートさん。作り手の顔が見えることにこだわりました。

販売スタートは2020年2月。ジャズシンガーさんにもきてもらい、いざミートパイのお披露目を…と思っていたところで周辺地域にもコロナウイルスの脅威が広まり、計画通りにスタートすることができなくなりま