が私にとって大切で大好きな人だからです。住む場所に困っているわけでもありませんし、大学生の身分で別荘を持つなんてふざけたお話だと私自身も自覚しています。ただ、家主さんの期待に全力で応えたいという想いが何よりも強くなるほど、これまでよくしていただきました。冒頭の写真のチェックのジャケットも、家主さんから頂いた物です。家主さんが飼育しているミツバチの蜂蜜も季節のサンマも、それから大学2年生の夏の大切な思い出も、家主さんから沢山いただきました。今回の別荘も、そんな頂き物のうちの一つということになります。
ただし、他のプレゼントとの大きな違いは、話を聞いている限り釣部の商売道具として譲るという点です。「どう使っても自由」とは言われてはいますが、高頻度で飛行機を使って通っていたことを凄く気に掛けてくださり、「お小遣いの足し」として役立てて欲しいと言われるのです。経営学も建築学も全く学んだことのない自分みたいな素人に譲るよりも、上手くお金に換える人は大勢いるはずです。それでも私に譲るという話をいただいた以上、(コロナ禍という話は置いておいて)家主さんに会える回数を増やすための交通費稼ぎと岩手での雇用創出が期待されているのだと私は解釈しています。
二つ目は、別荘を譲受して自己満足で終わるという物ではなく、パブリックな共有財産として社会課題解決のためのツールとして活用したいということがあります。学生相応の収入しかない以上、別荘の譲受が不採算事業であっては維持できませんし、別荘のない今の生活にも充分満足していますので、私物にしたところで自己満足も特に期待できません。
このプロジェクトは、「別荘を獲得する」という行為を実現したいわけではありません。繋がりを創出し、多くの地域を結び、互助関係のネットワークを作る手段として、『繋がり』を可視化する『別荘の活用』に行き着いたところです。そのためのオープンな場づくりが必要だと考えたからです。
三つ目は、私が活動しているフィールドにあります。本プロジェクトとは直接関係ありませんが、モデルとなるような企業でインターンをしていたことが理由の一つとしてあげられます。それは、石川県七尾市の地産地消レストラン『能登風土』です。休業していた牡蠣養殖業者の跡を継ぎ、休耕地で野菜を育て、20年近く空き商店になっていた駄菓子屋さんの場所で育てた牡蠣や野菜を振る舞っています。「農地が荒れ果ててからでは遅い。今やらなければ、10年・20年先の農業の未来はない。」その想いが原点となって全くゼロから開拓した社長の事業に、沢山の迷惑をかけながらではございますが加勢して参りました。全国から毎年何万人もの人が社長の牡蠣を食べに来る様子は本当に圧巻です。
別荘の活用が『別荘の荒廃』を招かないために
今回のプロジェクトの最大の課題が、維持の問題です。この問題の解決のための事業が『シェアオフィス』事業ということになります。プロジェクトをやりたいと周囲にお話しさせていただいた時に厳しいお言葉をいただきました、「それではお前がこの別荘を荒廃させる」と。
本業が大学生で昼間は面倒を見れるわけではない(就職すれば尚更)、人を雇うとなると1日2万円は稼がないとやっていけない、経営の知識も経験もない、いずれも事実でございます。そこで思いついたことが『シェアオフィス事業』でした。将来の昼間無人化も視野に入れ、大きな設備投資も不要です。
今回の別荘は池を挟んで反対側に主要な国道が通っていますが、三方を緑に囲まれ、北側も池という静かな立地でございます。その