宇宙で活躍するロボット技術を日本で開発したい!

宇宙で活躍するロボット技術を日本で開発したい!
「はやぶさ2」の活躍など、日本で宇宙開発が活発になってきました。一方、海外では火星に探査機が実際に着陸するなど惑星探査が活発に行われています。そして2021年には火星で無人ヘリが飛行する予定です。そこで、本プロジェクトは、砂浜など惑星に近い環境にて無人機、ローバーを開発し観測・調査の実験を行います。


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宇宙で活躍するロボット技術を日本で開発したい!
3 ~ 4 分
はじめに

こんにちは。閲覧ありがとうございます。私たちは、火星探査のための空・陸両方からのアプローチという新たな探査方法を開発するため、研究開発を行っております。2020年7月にNASAが世界初の火星探査ヘリコプターが打ち上げ、話題になりました。今、世界中でこういった地球外の惑星でUAV(ドローン)を使った探査の方法が研究されつつあります。また、電子技術の向上により、ローバー(月面や火星などの地表を走行して探査するロボット)も小型化しつつあり、より安価で扱いやすいものとなってきました。そこで、惑星探査の将来を見据え、小型ローバーと探査UAV両方用いれば、広範囲かつ詳細な探査方法を確立できるのではないかと考えました。本研究プロジェクトではUAVとローバー両方開発を行い、お互いに連携してミッションをこなすための技術開発を行います。この技術は、惑星探査のみならず地球上でも、農業や人が立ち入れない場所での観測、災害対策など今世界中で必要とされている技術の開発に大いに貢献できることが期待されます。
観測技術の開発

本プロジェクトで用いているヘリ型UAV(地球用)

将来的に火星など、大気のある惑星でUAVが実用化された場合、上空から測量することにより地形やその色を調査することになると思われます。そこで、私たちはまずUAVを用いた「三次元測量」を研究しました。三次元測量とは、地表の形を立体的なデータとして取得することです。一般的には三次元測量を行うためには、レーザースキャナーを用いるのですが、機材が重く地表の色を識別することができないといった欠点があります。そこで、私たちは小型カメラをUAVに搭載し、大量の写真データを撮影してそれを元に三次元データに落とし込むといった方法を採用しました。

生成した三次元測量による三次元地図

その結果、色や形を鮮明に再現することが可能となり、この技術が実用化されれば、今までは見えていなかった物が見えるようになると考えています。
火星探査UAVの開発

さて、もうお気づきの方も多いかと思いますが、本研究プロジェクトで用いているヘリUAVを火星に持っていっても飛ぶことはできません。このヘリUAVはあくまで、地球上での実験を行うための機体です。火星と地球では大気の密度や成分などの環境が違いすぎるからです。そこで、火星の大気に合わせた翼の形状や配置を研究しています。ただ、この分野は未知の分野であるため、文献を調査したりシミュレーションを使用することが困難です。そこで、私たちは、専用の実験装置を自作し、様々な条件下での実験を行っています。

自作した実験装置
ローバーの開発

ここまでは、空からの探査について紹介しました。しかし、これだけでは足りません。空からの探査は短時間で広範囲の情報を取得できるといったメリットがありますが、特定の場所をピンポイントで探査するには向いていません。そこで、UAVからのデータを元に必要に応じてローバーを派遣し、詳細な探査を行わせるといった次のようなミッションを設定しました。

①UAVから観測を行う。

②UAVぼデータから不足している、より詳細に知りたいポイントを選定する。

③そのポイントにローバーを派遣する。

④ローバーによる探査を行う。

なお、ローバーの派遣方法ですが、(1)UAVから投下する(2)ローバーが自走していく の2通りを考えており、状況に応じて使い分ける必要があると考えました。