旧湯里小学校)
この問題は石見地域に限らず、
日本各地の市町村で起こっています。
石見地域のような過疎地域の面積は
実に日本国土の57%に及びます。
つまり
石見の問題を解決することは、
日本の過疎地域の課題を
解決する事にも繋がります。
石切り場の視察の様子
アートの役割は
【人の認識を揺さぶる】こと。
アートについて面白いところは、人間に驚いているということです。
こういう人にもこういう秘密があり、こういう感受性がある、この人にはこんなふうに狂わせるような思いがあるんだ、と言う驚きの発見方法と、一般的な考え方、常識からはこう見えるかもしれないが、違う角度から見るとこう見える、人間はこういう風に理解するんだなということを、アートは教えてくれます。
たとえば100人の中に、一人の変わった人が居たとします。
その人はマニュアルに従えば、平均値から外れた落第者です。
アーティストの使命とは、その落第者と「勘違いされている」一人の人間にも価値がありますよ、ということを勇気をもって言うことです。
その人には違う見方をすれば、とてつもない可能性を秘めているかもしれないし、素晴らしい創造性で新しい物を生み出すかもしれない。それを他者が発見してあげることで、誰にも負けない能力を開花させるかもしれない。
これは過疎地についても言えることで、私の生まれ故郷である石見地域も、ほとんどの町が過疎地と呼ばれていますが、歴史的にも芸術的にもたいへん素晴らしいところ、面白いところがたくさんある。
だから、経済的に発展している都市などからみると、過疎地域だと一括りにされている場所にこそ、たくさんの文化的な可能性があるということを、このプロジェクトを繰り返し開催することによって地域内外へ私達アーティストが発信し、それによって、観客の人々が新たな角度から地域の魅力を発見する手助けになることを願っています。
歴史ある世界遺産の街で総合芸術祭を開催する。
様々な芸術家を連れてきて、地域の特性を生かした形で芸術作品を創る。
面白そうだけど、とても難しい企画です。
そもそも、島根県は映画館ですら日本で一番少ない県であり、石見地方では温泉津町が含まれる大田市、隣の江津市、その隣の浜田市にも映画館は一つもありません。
さらに、美術館や劇場も全国的に少ない地域であり、それによって、ある場所に足を運んで芸術作品を観ると言う文化が、石見神楽以外は無くなっていると言っても過言ではありません。
そういった中で、このプロジェクトがどこまで、この町の人に対して関わっていけるのか、普段、芸術にあまり親しみのない人たちに、このプロジェクトで出会うためにはどんな作戦が必要か、そもそもなぜ直に芸術作品を見せる必要があるのか。
廃校で行う体験型アート展、石見の町を題材にした映画製作と上演、里山や空き家の中に製作した作品を展示する現代美術展、福光石切場での音楽ライブなど、様々な案が出ました。
また、その状況のなかで、総合芸術祭をどの程度の規模で開催するのが現実的なのか。
島根への視察や会議に会議を重ね、様々な問題を地元協力者の方々と悩み、思案を重ねました。その結果!!
これはもう、兎に角、一度やってみるしかない!
と言う結論に至り、2020 年1月、イワミアーツプロジェクト『プレビュー公演』として、
【演劇ワークショップ】と【演劇公演】を行いました。
明治時代に建てられた古民家ゲストハウスにご協力いただき、劇団晴天「共演者」昼夜公演を行い、述べ105名の方にご覧頂きました!