<公害と出会い、向き合うための本>を出版したい

<公害と出会い、向き合うための本>を出版したい
「公害」という言葉を聴くと、何を連想するでしょうか? 公害は、過去完了形の出来事ではなく現在進行形であり、これからの私たちのいのちと暮らしの在り方にも大きくかかわります。そこで私たちは、<公害と出会い、向き合うための本>として『公害スタディーズ;悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ』を刊行したいと考えます。

:五島市カネミ油症被害資料展示コーナー(五島市)
・2010年:立教大学共生社会研究センター(立教大学)
・2011年:一般社団法人あがのがわ環境学舎
・2012年:富山県立イタイイタイ病資料館(富山県)
・2013年:法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズ(法政大学)
・2015年:四日市公害と環境未来館(四日市市)
・2015年:太田市足尾鉱毒展示資料室(太田市)
・2016年:熊本大学文書館(熊本大学)
・2020年:宮崎大学土呂久歴史民俗資料室(宮崎大学)
・2020年:尼崎市立歴史博物館地域研究史料室”あまがさきアーカイブズ”(尼崎市)
・2021年:原子力災害考証館furusato
(*資料館の設立年を記載。館をもたない(フィールドミュージアムなどの)団体については団体の設立年を記載しています。)

各地の公害資料館では来館者のための展示やプログラム開発の努力を積み重ねてきていますし、地域の学校と連携した公害学習の取り組みも広がりを見せています。後者の動きは、アクティブ・ラーニングや探求的学習という今日求められている学習法とも響き合い、さらに大きく展開されていくことが期待されています。

私たちはこうした動きを背景に、いま〈公害と出会い、向き合うための本〉としての『公害スタディーズ;悶え、哀しみ、闘い、語りつぐ』を刊行したいと考えています。

公害地域の今を伝えるスタディツアーin新潟(2010)新潟県立環境と人間のふれあい館での一コマ
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ー「〈公害と出会い、向き合うための本〉が必要だ」と考えた50人が
「いまこそ伝えたい」と思ったことを書き切った書籍ですー

この本づくりは、日本環境教育学会のなかに置かれた公害教育研究プロジェクト(2016-2019)の取り組みから出発しました。

上述のように、この20年あまりのあいだに全国各地に「公害資料館」と呼ばれる施設が設立され、それぞれの地域の公害の掘り起こしと記憶の継承に力を入れてきていました。
そこに東北大震災・福島原発事故が発生することにより、いまいちど公害問題の経験に学びなおす必要性がより広く認識されるようになりました。

公害教育研究プロジェクトは、こうした動向のなかで、公害の経験をより幅広く伝えたいと考える公害関係者と学校や社会教育の現場で公害にかかわる学びをもっと展開したいと願う教育関係者とによって取り組まれはじめたものです。

このプロジェクトでは、公害にかかわる学びがなかなか広がらない背景にはどこに原因があるのかを探るとともに、いまどんな学びが必要であるのか、それを拡げていくためには何が必要なのかについて、3年間にわたって議論を積み重ねました。
その結果、いま〈公害と出会い、向き合うための本〉をつくり、多くの人に読んでいただくことが何よりも必要ではないかと考えるに至り、研究の成果物として本づくりに取り組むことにしました。

公害教育研究会での議論の様子

私たちの願いに応え、患者、家族、支援者、医師、企業関係者、政治家、研究者など、50名を超える方々が快く執筆を引き受けてくださいました。そのなかには、「熟慮の末、お引き受けする義務があると感じました」としてペンを取ることを決意してくださった方もおられます。この結果、「〈公害と出会い、向き合うための本〉が必要だ」と考えた50人が「いまこそ伝えたい」と思ったことを書き切った書籍を刊行する道が開けました。

初学者でも手に取ることができ、公害の全容と現代的課題がわかる本が必要で