愛知県瀬戸市の木工作家による、地元の間伐材を使ったものづくりプロジェクト

愛知県瀬戸市の木工作家による、地元の間伐材を使ったものづくりプロジェクト
愛知県瀬戸市の木工作家・渡邉啓範が、地元ボランティア団体「森間伐の会」と組んで、木こりへ。生えすぎてしまった地元のどんぐりの木を間伐。その間伐材を使った作品づくり&木工体験が楽しめる「せともり」プロジェクトをはじめます!

◎自己紹介

はじめまして。

「わたり工房」代表で、木工作家の渡辺啓範(わたなべ・ひろのり)です!

私は愛知県瀬戸市で生まれ育ちました。子どもの時からギターとものづくりが好きで、9年間、静岡県に本社を置く大手楽器メーカーに就職。その後、瀬戸市に戻り、木工作家として独立して6年目になります。木材を高速回転させ、刃物を当てて木を削る「木工ろくろ」という技法を使い、製作した木の食器やどんぐりごまといった作品を百貨店の催事で販売しています。

また、ものづくりの楽しさを知ってもらいたいと、一緒に木を削ってボールペンを作る体験工房を開いています。
◉今回やりたいこと。「せともり」プロジェクトへの想い。

今回、わたしが継続的に続けていく! と決め、スタートするプロジェクトが、地元・愛知県瀬戸市の森の間伐材を使った作品づくりや、一般のみなさんにものづくりの体験をしていただく「せともり」です。

15年以上、木材に携わるお仕事をさせていただくなかで、年々、自分がどこでどう採れた木材で、作品をつくるべきかを、考えるようになりました。

日本の森は、さまざまな問題を抱えています。

戦後に大量のスギやヒノキの植林をして、収穫の時期がきているものの、今では安価な輸入材が入るようになり、需要がなくなってしまった。使うことを前提に植えているため、密集しすぎて、光が届くように不要な木を間伐する(間引く)必要があるものの、平たくいうと儲からないため、そのまま放置されている現状があります。

いち木工作家として何かできないか?

そこで、地元・瀬戸市の森に目を向け始めたのです。
◎愛知県瀬戸市の森とは?

私が拠点にしている、愛知県瀬戸市は“せともの”が生まれたまちです。

1000年以上も昔からやきものの産地として栄えてきました。

その理由は、昔から、豊富で質のよい粘土が採れることはもちろん、窯を焚く時の燃料や釉薬として適した、シイやコナラといった、どんぐりがなる木も豊富であったことから。

その結果、江戸時代から明治時代にかけて、木が次々に伐採され、日本三大はげ山のひとつと呼ばれるように。荒廃した森林面積は、なんと30,000ha以上にも及びました。

それほどまでに、どんぐりの木を使っていたのです。

しかし、時代の流れとともに、ガス窯や電気窯が使われるようになり、薪は不要に。釉薬としても、伝統的な技法を守ってつくる窯元さんや作家さん以外は、代用品に取って代わられ、需要が減ってしまいました。

その結果、生命力がとてつもなく強いどんぐりの木は、今では爆発的に増え、放置しておくと、木が弱って、倒れて危険な状態に。植林ではなくとも、間伐する必要が出てきました。
◎瀬戸の間伐材を使って、ものづくりをする!

そういった瀬戸市の森に関するお話を教えてくださったのは、「森と暮らす」をテーマにした庭づくりをする、瀬戸の造園会社「フォレストニア」の代表・加藤 滋さん。

加藤さんは、「フォレストニア」の活動の一環として、森を整備するボランティア団体「森間伐の会」を立ち上げ、瀬戸市の森の整備に取り組んでいます。

現在、50名近くのメンバーが在籍し、倒れそうで危ない木などを伐採したり、森の道を整えたり、森の整備をしています。メンバーは整備をする代わりに、間伐した木を自分で持ち帰って自由に使うことができます。

加藤さんとの出会いによって、地元の間伐材が手に入れられるようになり、今回のプロジェクトが実現へと向かったのです。

瀬戸市には林業組合はありません。

そのため、加藤さ