はじめに・ご挨拶
私は大野遼。73歳。元メディアの記者。在職中から、国立民族学博物館、筑波大学、奈良国立文化財研究所、東京大学、青山大学、大阪医科大学の当時学会のリーダー的研究者と一緒に北方ユーラシア学会(初代会長江上波夫、二代目会長田村晃一)を創設、ソ連科学アカデミーと協定書を交わし、アルタイ山脈のパジリク王墓発掘や渤海港湾遺跡の総合プロデュースなどにかかわり、内陸アジアと日本列島とのかかわりを考古学、民俗学、人類学、言語学、人類遺伝子学の視野から相互学術調査の組織に携わってきた。1991年、アルタイ山脈で王墓発掘中にゴルバチョフ大統領が拉致される事件が発生したが調査は継続、その後のアルタイでの発掘調査の基礎を築くとともに、旧ソ連の崩壊を目の当たりにして、現在生きている人々の「多様性に敬意 民族共生」を模索するNPOユーラシアンクラブを創設、インターカレッジ文化講座、アジア・シルクロード音楽フェスティバル、アムール先住民族村の展覧会開催を総合企画、サハ共和国の太鼓文化再生のため若者を招聘して和太鼓研修と音楽祭の開催、キルギスで井上靖生誕100周年記念イッシククル湖岸フェスティバル開催、ウズベキスタン日本国交20周年記念シルクロード音楽祭の開催など多岐にわたる活動を続けてきた。
このプロジェクトで実現したいこと
この出版プロジェクトは、本来大手出版会社が発刊に携わるのが本来の姿だと考えている。なぜ特定非営利活動法人が出版プロジェクトに携わることになったのか。
「タジク・ソグド」という中央アジアの人々について、中央アジアですらその歴史文化的意義が正当に評価されておらず、日本においては、特に、ほどんど知識も理解もないと言っていい状態にある。鎖国から明治維新に移行し、日本人が「脱亜入欧」を志向し、今日に至っている近現代史の結果と考えている。しかし、東イラン系ペルシャ人であるソグド人が各地にソグド人集落を作りグローバルネットワークを形成してビジネスに励み、仏教を日本まで伝えるなどシルクロードの主役であったことは、唐招提寺の第4代住職がブハラ出身の安如宝であったこと、「秘められたシルクロード タジクの黄金遺宝」で著者のハムロホンザリフィ氏(元タジキスタン共和国外務大臣、前駐日タジキスタン大使館特命全権大使)が奈良県の荒井正吾知事から高松塚古墳壁画の女性衣装を示され「これはソグドの女性の宮廷衣装、現代タジクの女性の民族衣装と同じ」とのコメントでも明らかだ。日本で初めての仏教僧がペルシャ人の女性であったことや東大寺二月堂のお水取りや頭塔がタジキスタン共和国のあるパミールに系譜をたどれる可能性が強いことなども視野に、シルクロードと日本の古代文化の形成におけるソグド人の活躍を再評価するべき時期に来ていると言える。今年がタジキスタン共和国30周年、来年がタジキスタンと日本の国交30周年となる節目は、ソグド人の後継者タジクとタジキスタン共和国を知ってもらういい機会だと考える。ソグド語は、ウィグル語、モンゴル語、満州語の起源でもある。中央アジアのトルコ系諸国がシルクロードの主役だと思っている人が多いと思います。本当のシルクロードの立役者はタジク・ソグドです。出版社が発刊を断った「秘められたシルクロード タジクの黄金遺宝日本語版」を、シルクロードやアジアに関心を持つ人と特定非営利活動法人ユーラシアンクラブが一緒になって、多くの日本人の間に普及する機会とするととともに、アジアの諸民族の中でも、民族を超えてタジク・ソグド人を再評価し、敬意を表する機会としたい。
プロジ