の成長過程において文化芸術に触れてほしい!という思いのもと、試行錯誤してたどり着いたのがミュージカルでした。お芝居だけでなく、歌と踊りでも表現する総合芸術なら、より高い文化教養が学べるのではないかという思いがあったからです。
ミュージカルを通してひとりひとりに内在する可能性を引き出し情操面の成長を目的として活動をしています。
●活動内容
週に1度、東京から専門の講師を招いて、地区会館や小学校の体育館を借りてレッスンしています。プロの俳優を育てる活動ではありませんが、レッスンは本格的で、歌唱・演技・ダンスとそれぞれの専門の講師から学びます。
1年に1度必ず公演を開催しています。
この公演は単にレッスンの成果を見せる発表会ではなく、チケット代を払って観に来ていただく「舞台公演」として開催しています。
舞台装飾は照明・音響・セット全てをプロの業者にお願いしています。出演者は役者として扱われ、決して子ども扱いはされません。一緒に舞台を成功させるため、劇団員は最後まで確認しあい、自身を奮い立たせて舞台に挑みます。
そうした舞台を地元の子ども達が演じることで、ホンモノの舞台芸術に触れる、それを地元の人が観客となって観に来ていただくことで、観劇の機会が生まれる。毎年の公演は確実に加賀市の文化レベルを向上させていると感じています。
●少しずつ、確実に
地元の方々にも親しまれ、近年は、過去の公演を観た方の口コミで、年々観客が増え、同時に「一緒にやってみたい」という子が入団し劇団員も増え、最初は5名から始まった団員も27名にまで増えました。
本当に少しずつ、それでも着実に進んでいる手ごたえを感じていました。
●地方での運営で立ちはだかる壁
加賀市には、1400席収容可能の大きな文化会館があります。この場所以外に公演が開催できる場所はありませんし、市内での小学校の観劇や音楽会、ピアノ発表会やバレエ発表会、演歌歌手のコンサート等、なにをするにも大半がそのホールで行われます。
このような文化会館は高度成長期に各地方の自治体が設立し、全国に多く見られます。都会では、こういった大規模なホール以外にも小さな劇場があり、その劇場の規模に応じた舞台公演が可能です。 加賀子どもミュージカルの公演はこの1400席のホールで開催するには会場の規模が大きすぎて、運営に見合っていない額の会場費がかかります。
小さな劇場は、東京のように人口が多ければ観に来るお客様の数も多いので経営は成り立ちますが、地方では小さな劇場があったとしても、必然的にお客様の数は少なくなり経営は成り立ちません。その事は理解しています。しかし、会場の選択肢がないことで、わたしたちの活動運営を圧迫しているのも事実なのです。
舞台装置に衣装やメイク、スタッフ等全てはプロと同じ仕様で、費用は子どもといえ、大人のプロの舞台と変わりません。プロの舞台を手掛ける音響や照明スタッフの方はほとんど東京から来ていただいているので、旅費や宿泊費等もかかってしまいます。
【これまでの活動で最大の困難】
●初の公演中止
第一回公演が行われた 2013年から毎年欠かさず開催し、8回目の公演が行われる予定だった2020年。世の中は新型ウイルスに脅かされ、暮らしは様変わりしてしまいました。そして加賀子どもミュージカルの公演もやむなく中止の決断をすることに…….。オーディションで決定したキャストによる練習が始まっていたため、子ども達の落胆は大きなものとなりました。 レッスンも東京からプロの講師を招くことは出来ず、