あれ!
松本紹圭(僧侶/未来の住職塾塾長)
「「そのうち」なんていう時は、永遠とやってこないのかもしれません」
突如の事業停止を受けて、「そのうち」と思っていたら結局、刊行した書籍を「取りこぼしてしまった」ことについて、元サンガ編集部の佐藤由樹さんが綴られた一文です。戸惑いながらも、あえて取りこぼしたものを今から手に入れようとすることはせず、欠けた穴はそのままに、本当の喜びは何だったかと問い直し、一歩踏み出す道を模索されています。
仏教を、信仰が不可欠で宗派に制限された「宗教」としてとらえるのではなく、「心の科学」としてとらえたいという創業者の遺された志。人々がSpiritual but not Religiousに向かうPost-religion時代を迎えている今、仏教は、より普遍的な智慧として、あらためてダイナミックに機能しはじめる時と思います。
仏法を共に耕しながら、ご縁に成り立つ共同体。この「サンガ的組織」を経営モデルとした「サンガ新社」の発足を心から応援し、これからの道標となっていくことを願っています。
「取りこぼした」ように思われたものは、気づけばきっとその道中で充分に満たされていくことでしょう。
プラユキ・ナラテボー(タイ スカトー寺副住職)
サンガ新社へのエール
「物事はすべて変化する」は言うまでもなくブッダの発見した「無常」という真理である。心も体も、そして社会も組織も常ではない。様々な条件に縁りて、移ろいゆくものである。
サンガ倒産もそうした世の流れの一現象に相違ないが、とはいえ、ブッダのいにしえの智慧を現代に伝える大事な役目を担っていた貴重な出版社であり、かつ個人的にもご縁があって、数冊の著書を上梓させていただいた身からすると、非常に惜しまれる出来事であった。
しかしながら、お世話になったスタッフや編集者さんたちの能力や気概あふれる姿を知っている私は、彼らならこうした事態もきっと力強く乗り越えられ、さらにバージョンアップして生まれ変わってくる、との確信もあった。
この度、「仏教を中心に持ちながら、皆が幸福に生きるためのコンテンツとコミュニティをつくる」というビジョンを掲げ、慈悲と智慧にもとづいた仏教的な価値観を現代社会に融合させ、社会と個人のwell-beingを創出していこうとの志を持って、サンガ新社として再誕されるとの報に触れ、大変喜ばしい気持ちになった。
今後どんな作品やコンテンツがサンガ新社から生み出されてくるか、ワクワクしながら注目し、全面的に応援していきたいと思う。
田口ランディ(作家)
仏教書を出版する会社は数多くありますが、そんな中で「サンガ」はひときわ異彩を放つ出版社でした。編集部は雑誌『サンガジャパン』を中心に、多様な切り口で今日的な仏教の意義を伝えてまいりました。
昨年、社長の島影さんが急逝され、今後の活動を案じておりましたが、この度、残った社員の皆さんが一致団結して新生「サンガ新社」として船出をするとのこと。会社は倒産しておりますからゼロからの出発となりましょう。多くのコンテンツと著者とのつながりを持っていらっしゃる皆様です。必ず、仏教の思想を広めるすばらしい本をおつくりになると確信しております。
今後も一緒に仲間として本作りをしていけたら幸いです。このたび「サンガ新社」の離陸を応援すべくクラウドファンディングが立ち上がりました。旧「サンガ」の書籍を愛読されていた多くの方に、ぜひこの立ち上げを知っていただき、また、「サンガ新社」の船出に同乗していただきたく思い、ここに応援メッセージを送らせて