サンガ新社が飛び立とうとしている。紙の出版はもちろんだが、電子出版やオンラインの企画に力点を置くという。新しい中味は新しい器に盛るのがふさわしい。サンガの精神を生かしながら、次なるステップとして何を産み出すことができるのか。大いなる期待を込めて応援したい。
鎌田東二(上智大学大学院実践宗教学研究科特任教授・京都大学名誉教授・宗教哲学)
「サンガ」は、もともと、仏教の僧侶たちの出家集団を意味する言葉だ。それを、わたしは、「道を求める人たちの集い」と捉えている。
が、その求道者たちの知の拠点でもあった「出版社サンガ」が、本年1月、突然、倒産した。
その日、わたしは、副編集長の川島栄作さんから、2月刊をめざして『身心変容技法シリーズ第3巻 身心変容と医療/表現』再校ゲラを受け取ったばかりで、驚いたのなんの。
「3密回避」が要請されるコロナ禍の中、わたしたちは、ほんとうに、切に道を求める人たちの集いやネットワークを必要としている。
わたし自身は、「3密回避」どころか、「三密加持」(空海)の必要を痛感している日々だ。
道を求める人々の新たな拠点となるべき新生「サンガ」の誕生を心から願ってい
ます。
道を求める皆様のお力をお貸しください。
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授)
因果の理法と新しい生命
すべてが因果の連なりなら、ものごとには終わりがない。終わりはつねに、新しい始まりである。
この理法のとおりに、サンガ新社が生まれるという。まずは喜びたい。
新しい生命は、弱くもろい。それを守るのが、親の役割である。親でなければ、この理法に従うものそれぞれのはたらきである。だがまた、新しい生命は輝かしい。どんな生命も、始めは小さかった。そして、この因果の理法に従うとき、大きく育つだろう。
とくにサンガ新社は、この因果の理法を世に広める生命である。追い風を受ける理由がある。幸あれと祈る。
大澤真幸(社会学者)
資本主義の限界が自覚されつつある。資本主義のベースには、西洋的な知とエートス(行動様式)がある。資本主義の限界は、これらの知とエートスの限界でもある。だが、世界史を振り返ってみれば、人間にはこれとはまったく別の知とエートスの遺産がいくつもある。オルタナティヴな知とエートスが、である。その中で最大にして最良のもの、それが仏教である。本来の仏教が何であったかを日本人に伝えてきたサンガを継承する新サンガを応援します。(撮影:新井卓)
釈 徹宗
(宗教学者/浄土真宗如来寺住職/相愛大学副学長・人文学部教授)
サンガという出版社は、日本の仏教フィールドに新しい風を吹き込みました。とても大切な存在でした。残念ながら、社長の早逝という事情によって解散を余儀なくされてしまいましたが……。
このたび元・サンガのメンバーによって新サンガ社が立ち上がることとなりました!
これからも仏教の良書を出してくれるはずです。応援してます。
石川勇一
(相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授、日本トランスパーソナル心理学/精神医学会前会長、法喜楽庵代表・臨床心理士・公認心理師)
近年、日本にブッダの正法の種が蒔かれました。
この種が芽を出し、花を咲かせ、根づくのか、
あるいは滅びてしまうか、
今、歴史的な分岐点に立っています。
その岐路において、無上の実を結ばせるために、
サンガ新社は大きな役割があります。
ブッダの正法は、命あるものの苦しみを根本から断つことのできる唯一の良薬です。
サンガ新社がその良薬を日本に広く行き渡らせてくれることを期待します。
仏法に栄え