読書は、人生を彩る体験。
人生を変えた、大切な一冊はありますか?
本との出会いや、本を読む瞬間は、人生を彩るひとつの体験です。
本は僕たちの内面を形作り、喜びや興奮、ときには慰めを与えてくれます。
そんな読書体験をより豊かにするために、僕たちは特別なブックカバーを作ることにしました。
読書をするときに感じる手触りや香り、そのときの感情まで、まるごと包み込めるような。何年も過ぎた後でも、手に取れば過去が物語のように蘇るようなものを。
僕たちは、理想のブックカバーに「bookmark」という名前をつけて、初めての商品開発にチャレンジしました。
「bookmark(ブックマーク)」
毎年度、その年の新しいbookmarkを継続して展開していく予定です。
革のまち草加で、理想のブックカバーづくりを開始
はじめまして! 僕たち「かもめや」は、草加せんべいで知られる埼玉県草加市に縁のあるメンバーで活動しています。デザイナーやライターなど、普段は違う業界で仕事をしていますが、それぞれの得意分野をもちよって、新たなチャレンジに取り組んでいます。
草加はせんべいだけでなく、実は「革のまち」でもあります。だからというわけではありませんが、僕たちは最初から、「bookmarkの素材は革にしよう」と考えました。時とともに味わいが増し、使い手によって変化に違いが出る革は、大切な本を包むのにふさわしいと思ったからです。
そこで、草加市で長年にわたり革製品の製造販売をしている株式会社WITHに製作をお願いすることにしました。デザインが固まり、製作していただける会社も決まり、あとは素材を決めるだけ。
そうしてWITHさんからタンナーを紹介していただいた僕たちは、ある特別な革と出会うことになります。
特別な革と、巡り会う
保管されていた床革
紹介された株式会社ジュテル・レザーの工場は、草加市の隣の越谷市にありました。会長の沼田聰さんにお話を聞いた僕たちは、革が生まれるまでに20を超える工程があることを知ります。
牛革の場合、主に食肉用の皮が使われ、「鞣し(なめし)」という特別な加工を施すことで、初めて製品として使われる革になります。それぞれの工程に職人の技術があり、手のかけ方によって革の丈夫さや質感を左右するそうです。
そんな話を聞きながら、僕たちは工場の中を見学しました。そのとき、ある不思議な革と出会います。普通の革よりも毛羽立っていて、ざらざらとした手触りをもつその革は、「床革」と呼ばれていました。
「大切な命を棄てたくない」という想い
こちらの床革とは、鞣し直後に、銀面を取った後に残った部分、2枚目にあたる部位を指します。銀面とは、一般的に革製品に使われる表皮、革の表面のことです。
床革が主役として製品に使われることはほとんどなく、使われるとしても、キャンプ用のグローブや靴の中敷きなど限定的。多くの場合、鞣しをほどこす以前に、ゼラチンやコラーゲンとして処理されているとのこと。
しかし、ジュテル・レザーの工場では、床革が大切に保管されていたのです。床革の品質は工程により変わりますが、ジュテル・レザーでは厚い皮の状態のままタンニン鞣しをほどこし、ここから銀面として使われる部分を取るために革を漉きます。結果、丈夫さにおいて銀面と遜色のない床革が残るというわけです。
しかし、なぜ一般的に製品として使われることの少ない床革を保管しているのでしょうか?その理由を沼田さんに尋ねると、「大切な命をいただいているから」という答えが返ってきました。沼田