さんは、床革を何とか商品にしようとしていたのです。
革の銀面(所謂、表側の革)と比べると、床革は毛羽立った質感をしています。そのため、「床革は銀面のように需要を見込めない」という業界の常識があるそうです。でも、僕たちが目にした床革は、素朴な雰囲気があり、一般的な革とは違った魅力が感じられました。ざらざらとした手触りは優しさを感じさせ、不思議と手にしっくりと馴染みます。
「この床革を、bookmarkに使いたい」と思った僕たちは、bookmarkをジュテル・レザーの床革でつくることにしました。
鞣し終えて染色されたbookmark用の床革
特別なブックカバーで日常の瞬間を残そうとしていた僕たちと、命への感謝とともに沼田さんが残そうとしていた床革。そんな不思議な出会いが、bookmarkを生みました。
このような道のりから生まれた最初のbookmarkは、僕たち自身も驚くほど、他にはない質感に仕上がっています。文庫本サイズなので、お気に入りの文庫本をbookmarkに包んで持ち歩き、大切な瞬間をともにしていただきたいと思います。
bookmarkの使い方
制作裏話
bookmarkの制作にご協力いただいた会社を2社ご紹介します。
[株式会社WITH]
革の町として知られる埼玉県草加市で、皮革製品の製造販売を手掛ける。国内外に拠点があり、有名海外ブランド製品のほか、オリジナル製品の製造販売や、古い皮革製品を再生させる「想い出REBORN」を行っている。
─ メッセージ ─
株式会社WITH 竹下皇さん
企画について聞いた時、彼らが革を使って、本気で新しいものを作ろうとする熱意を感じました。同時に、私たちが当たり前のものと思っている業界の常識が、一般の若い方に知られていないことを知りました。今回のプロジェクトが、若い人たちが革製品に興味を持つきっかけや、革業界への刺激になるといいと思います。
株式会社WITHでの制作の様子
[株式会社ジュテル・レザー]
埼玉県越谷市にある、牛革のタンナー。野球の硬式用グローブレザーを主に、軽さや丈夫さ、色合い、タッチなどにこだわった商品を製作。牛革のクロム、タンニン、両方の鞣しを行える希少なタンナー。
─ メッセージ ─
株式会社ジュテル・レザー 沼田 聰さん
当社では、「THANKS ANIMALS」をポリシーとしています。食肉などに加工される牛から取れる革は、“命”にほかなりません。私たちは、この命への感謝とともに、タンナーとして革を活かす方法を日々考えています。床革については、残念ながら市場からの需要が少ないという現実がありますが、今回のプロジェクトをきっかけに、あらためて床革の価値が見直されることを願っています。
株式会社ジュテル・レザーでの制作の様子
株式会社ジュテル・レザーでの制作の様子
製品仕様について
素材:牛革の床革
サイズ:文庫本用サイズ(W108mm×H162mm)
色:青
年号:背表紙に「2021」の箔押し印刷あり
付属品:革製の栞(製品と一体化)
※ 一般的な文庫本のサイズに対応していますが、版元の仕様によっては本製品に収まらない可能性があります。あらかじめご了承ください。
※ 200〜600ページ程度の文庫本に対応可能です。
※ 開発中につき、多少仕様が変わる場合もあります。
革の特性について
・製品に使用している革は、植物タンニン鞣しで仕上げているため、自然な風合いとなっています。使用状況によって傷や色落ちが生じる可能性があります。また摩擦や水ぬれ、長