重要文化財の元蔵へ移転するコーヒー豆焙煎工房2階を私設図書館に。

蔵へ移転するコーヒー豆焙煎工房2階を私設図書館に
重要伝統的建造物群保存地区の奈良県橿原市今井町。この町でコーヒー豆焙煎工房を構えて6年。工房が手狭になり、移転先の物件を探し始めて2年。ちょうど工房向かいにあった幕末の蔵を売却してもらえました。1階はコーヒー豆の焙煎工房、2階は地元民の集える図書館のような第2の家のような空間にします。

い、迷子になるような町並み、怖いほどの静かさ、いろんなことにホッとします。
この町で珈琲の富田屋がコーヒー豆を焙煎することを受け入れていただき、本当に感謝しています。
今井町に、そして、住民に何か恩返しできることは無いかと考えていました。

この町に珈琲の富田屋が移転してきて数年すると、注文数が増えてきて、今の工房では少し手狭になってきました。
この蔵にわざわざ移転しなくても、半分ぐらいの大きさの物件で、手頃な価格の家を探すことも可能でした。
すると改修費用も500万円も掛からなかったかも知れません。しかも、賃貸という形もあったでしょう。

ですが、この工房兼住所に引っ越してきた時から、真向かいにある蔵には目を奪われていました。
存在感、崩れかけて亀裂の入った壁、歴史しか生み出せない瓦の風格、落ちてきそうな屋根、小さな可愛らしい窓。
見るたびに「何か良い感じやなぁ」と感じていました。

そんなある日、「焙煎工房を移転したいので、今井町内で何か物件は出ていますか?」と今井町並整備事務所に聞いたところ、「工房の目の前にある蔵はどう?」というお話を聞きました。
驚きとともに、「この素敵な蔵で仕事ができたらより美味しくコーヒーが出来るだろう!」と妄想しました。重要文化財の所有していた蔵というエピソードも惹かれます。
思ってもない物件に驚き、チャレンジが始まりました。

2階の利用方法はいろいろ頭を巡りました。ゲストハウス、シェアオフィス、お店をしたい方への間貸し、シェアルーム、作家さん4人ほどが使えるシェアアトリエ、1泊20万円の超高級宿泊施設。・・・でも、どれもピンと来ませんでした。
1年以上考える中で、北川八郎さんの本に「利益を社会に10%還元しなさい」と書かれた言葉があり、ずっと気になっていました。
そして、2階部分は利益を得るんじゃなくて、社会に還元する方で考えようと舵を切りました。
すると当初あった町への恩返しに繋がり、いろいろアイデアが浮かんできました。
そのアイデア全部を形にすることは広さ的に無理ですが、
図書館、キッチン、子どもが遊べる、ここら辺を軸にしていろんな人に楽しんでもらえる空間にしようと固まりました。
これまでの活動

片付け作業「特定非営利活動法人今井まちなみ再生ネットワークの今井まちあるき」今井町の空き家・空き地を半日~1日かけて歩きながら巡るイベントです。実際に空き家に入って状態を見たりできるので、これがきっかけで空き家を購入し、改修したり、賃貸で住まわれる方も増えています。
僕もその中の一人でした。
何度かこのイベントのお手伝いをしました。

「特定非営利活動法人今井まちなみ再生ネットワークの空き家の片付け」家主さんがご高齢、あるいは遠くに住まわれているなどの事情で空き家の片付けが進まないことが多くあります。片付いた家を見学者が見るとその家に住むイメージが沸きます。
そして、その家に住むと決まった後も不用品を捨てたりして片付けの手伝いをして、スムーズに移住が進むようにします。

「田んぼの草刈り作業員集め」
橿原市の学校給食を考える会で知り合ったお米農家さんがいます。その方は農薬、化学肥料不使用でお米を栽培されています。農作業の中で一番つらいのは畦の草刈りと聞き、作業員を募集することを提案しました。提案は受け入れられて、今年で4年目に入ります。昨年は16人もの作業員の方が毎月の草刈り作業に励まれました。
自分自身も草刈りをしていて、今年で4年連続継続します。
人に喜んでもらえる事を実際に出来たと実感できる貴重な体験でした