みんなの想い出が詰まった煉瓦造風カフェ「英国館」を守りたい

みんなの想い出が詰まった煉瓦造風カフェ「英国館」を守りたい
室蘭で長く愛されてきた煉瓦造風の喫茶店「英国館」。建物の傷みに新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけて閉店の危機にさらされています。ドラマのロケ地として、著名人も訪れたカフェとして市内外に多くファンがいるこの店の存続のためにご支援をお願いいたします。

ました。

=====「英国館のこと」=====

◆ この文章も、「英国館」のいつもの2階の奥の席で書いている。

かつて遊郭が立ち並んでいた“幕西の坂”の入り口に、この「英国館」は在る。
今では、往時のにぎわいを偲ばせる建物は残っていないけど、坂道を歩きながら道端に目をこらすと、その土地に染み付いた記憶の香りだけは微かに感じられる。

長年暮らした東京から、生まれ故郷の室蘭に移住して早10年。
僕は、何度この「英国館」にお世話になったことだろうか。
新聞などのインタビューを受ける時も、仕事の打ち合わせをする時にも、僕は必ずその場所に「英国館」を指定してきた。

もちろん、原稿や脚本を書く時も、何にも予定がない時にも、僕は「英国館」の2階にいる。
外観と同じく、長い歳月を積み重ねてきたレンガの壁に包まれた店内には、いつも静かにジャズが流れている。

伝説のテレビドラマ「MOTHER(日テレ / 2010)」のロケ場所に使われたのも頷ける、一朝一夕には作り得ない空気感。
雰囲気のある灯りに照らされた窓枠や階段の手すりを眺めているだけで、時が経つのを忘れてしまい、その居心地の良さに何時間も居座ってしまう。

「英国館」は、コーヒーはもちろん、日替わりランチがまた絶品なのです。
3段のお重に、ママさん特製の美味しいオカズが何種類も詰め込まれている。
そこに、「これ試しに作ったのよ」とか言いながら、更に一品追加されることもしばしば。その一品は、“カジカの卵の醤油漬け”だったり、“ミツバのおひたし”だったり、“蕗の煮付け”だったりと旬のものが多く、美味しい上にコストパフォーマンスが良すぎるのです。

◆僕は、2014年から2018年にかけて、室蘭を舞台にした「モルエラニの霧の中」という映画の撮影をしてきた。

季節ごとに行われた撮影は、4年半のべ9回に及んだが、そのロケの期間中だけではなく、ロケ前の準備段階から、「英国館」には大変お世話になった。
スタッフ会議の場所としてはもちろん、ある時には、俳優さんを交えてのリハーサル場所としても使わせて頂いた。
ロケ中のキャストとスタッフは、英国館の並びにある「室蘭プリンスホテル」が定宿だった。

ロケ現場へ向かう前の朝のひとときも、ロケを終えてホテルの部屋へ戻る前にも、スタッフと俳優さんたちの足は、当然のように「英国館」に向かい、美味しいコーヒーで一息ついた。
ママさんの「いってらっしゃ〜い」と「お疲れ様〜」を聞きたくて。

◆ この「モルエラニの霧の中」出演者のお一人、大杉漣さんと「英国館」とのエピソードを紹介します。

2015年5月のある朝、ロケ現場へ向かう前に一人ふらりと「英国館」を訪れた漣さん。
ファンだったママさんがサインをお願いした。
あいにく、店には色紙の用意が無くて画用紙しかなかったが、漣さんは嫌な顔ひとつせずサインをしてくれた。

翌朝、ロケ現場へ向かう直前の漣さんが、再び「英国館」にやって来た。
「新しく書き直してきたよ!」と言いながら、その手には色紙が。
ご自身で購入した色紙に、新たにサインをして落款も押して届けてくれたのである。
「じゃあまた来るね!」と手を振って去って行った漣さん。
大杉漣さんは2018年2月に、遠いところへ出かけてしまったけれども、この時の色紙は、今日も「英国館」の店内を見守っている。
大杉漣さんの色紙====================
●家庭的でおいしいフードメニューやドリンクと、和やかな雰囲気

ランチ、今日はスペアリブ! 佐藤寿人さんや坪川監督も魅了した、