※このプロジェクトは私たちの祖父母、両親から受け継いだ四国の伝統文化を
私たちの子ども、孫の世代に繋ぐための挑戦です。当たり前が無くなる前に。
CDではなく日本酒を作る音楽家
はじめまして、音楽ユニット”猩猩”の奈尾ちひろと申します。
周りに田んぼしかない香川県の田舎出身で2、3歳の頃から地元香川県の祭り(讃岐獅子舞)に参加している生粋の祭り好きの30歳です。和太鼓の演奏を生業にしております。
新型コロナウイルスの感染拡大により、和太鼓奏者としての仕事は全てキャンセル、大好きな祭りも全国的に中止となり、人生がリセットされた気分でした。
しかし、僕はこれをマイナスな出来事ではなく、むしろこの現状に音楽で向き合う必要を感じ、アイデンティティーである香川県の伝統芸能”讃岐獅子舞”を音楽としてより深く追求しました。
その音楽を追求していく中で、讃岐伝統音楽を世界に発信したいと思い、祭りでは使われないギターやピアノのような楽器を加えた、今の時代だからこそ作れる音楽を作成するべく、音楽ユニットを立ち上げ、”猩猩”と名付けました。
猩猩とは祭りの中で、獅子を先導する役を担う猿の妖精です。(下の写真の子どもの役)僕たちが讃岐の文化を世界に先導したいという願いを込めて名前を付けました。
鋭い牙を持った強面の讃岐獅子舞
そんな中、四国で活動されている方にとあるアドバイスを頂きました。
「日本酒に音楽を聴かせて作る酒蔵があるよ」
それは徳島県の三芳菊酒造とオンキヨー株式会社が2021年6月に共同開発した新しい日本酒らしく、初めて聞いた時は酒蔵でスピーカーから音楽を流しているのかと思いましたが、僕の予想とは全く違う装置と設備でした。
それは醸造時、直接タンクに音の振動を与える事で日本酒の発酵を促し、より美味しいお酒を作るという取組みでした。
オンキヨー株式会社開発「Vibtone」
加振の有無による発酵状況の様子
自分が日本酒好きでもあり、初めは興味本位でしたが、この日本酒について調べていくうちに、多くの可能性を秘めているのではないかとの思いがよぎりました。
①自身の音楽の普及
日本酒のラベルにQRコードを記載し、読み込む事でお酒に聴かせた猩猩の曲を簡単に視聴する事が可能になり、お土産や贈答用として拡散される事で、音楽の新たなアプローチ方法として利用できます。
②地元産業との協働
今回、協働する蔵元さんも、コロナウイルスの影響により甚大な被害を受けておられます。それは連日報道されている、飲酒提供の禁止等のニュースで皆さんの知るところでもあると思います。打撃を受けているのは酒蔵だけでなく、日本酒製造減少に伴い、その原料となる米を生産されている農家の方々にも及びます。今回の活動が酒蔵や農家の皆さんの経済活動の一助になればと考えています。
③ 地域への還元
②であげた地元産業との協働はもちろんのこと、売上の一部を地元の祭りの支援に充てる事で、祭りを継続的に続けていくための経済的支援を行うことができます。また、自身の取り組みがどこかで取り上げられれば、地元へ関心が向くきっかけになるとも考えています。
まだまだ、新型コロナウイルスの状況の先行きが見えず、僕自身も2年近くコンサートやイベントの音楽活動が全くできていません。だからこそ、可能性があることには何にでも挑戦していきたい。
その思いだけで、話を聞いた翌日に、その蔵元さん(三芳菊酒蔵)に連絡し、思いの丈をお伝えしたところ、日本酒の製造を快諾してくださり、今回のプロジェクトが決定