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1.はじめに
「音楽は人、コンサートはコミュニケーション」
私たちは「ON music project(オン・ミュージックプロジェクト)」という名前で、主に名古屋を中心に、クラシック音楽と言われる分野のコンサートを開催しています。
“on”という単語は、様々な英文中で、物事が接する様子、継続する様子、機能している様子などを表す時に用いられる単語で、この活動の礎ともなる言葉であると感じています。
昨今〝コロナ禍〟と呼ばれる状況の中、たくさんの方々が大きな影響を受けたことと思います。
私たちが携わっているコンサートの業界でもその影響は色濃く、コンサートを一緒に開催していた奏者が音楽の仕事から離れてしまったり、活動拠点であった名古屋から地元へと戻る決断をなさった方もいました。
そのような状況下で、これまでのコンサート活動はしばらくお休みする期間もありました。しかしその間、活動を継続・再開できることを祈るだけではなく、これからも継続できるような新しい取り組みを、奏者の方々と創造したいと考えるようになりました。
コンサートや奏者の魅力の一部をこれまでと異なる方法で伝えるようなことができないか?
奏者も鑑賞者も情報を共有できるようなプラットフォームが作れないか?
コロナ禍の中、奏者との対話を通して生まれたこの想いが、今回の企画のきっかけとなっています。
例えば、「家族や友達とも思うように会えない時、テレビ電話を簡単に繋ぐように奏者やコンサートに橋渡しすることができたら?」「人が集まるコンサートホールには行けないけれど、家族のお祝いや節目に音楽をプレゼントできたら?」このような、人が”音楽を聴きたい”という小さな欲求を奏者と一緒に叶えることができたらと。
こういった発想はコンサートができない状況下にあっても、私たちにとって意味のある1歩だったのだと感じています。そしてこの企画が「誰か(奏者やお客様)のためのコンサート」になることを思い描いて、これまで検討を重ねてきました。
コンサート後の記念写真
2.私たちの活動とリレーコンサート
ここで、企画のご説明の前に、少し私たちの活動をご紹介させてください。
「ON music project」は、2010年より始まり、2020年9月で10周年を迎えました。
私たちは、奏者とお客様との、奏者とコンサートとの、奏者と作曲家との、そして人と人との小さな縁を楽しむようなプラットフォームとなるような活動を志しています。
その10年というコンサート活動の幅を拡げる時間の中で、2013年より継続企画として毎月欠かさず開催してきた「リレーコンサート」いうリサイタルシリーズは、私たちにとって大きな意味があったように感じています。
リレーコンサートの風景
(2018-19年度リレーコンサートの様子)
リレーコンサートでの、奏者自身がバトンを介するという取り組みを通して、たくさんの新しい奏者との出会いがあったことは言うまでもありませんが、奏者と鑑賞者の”気持ちを繋ぐ”という意味合いや”奏者の人柄や個性を伝える”ことの大切さという点において、多くの気づきがありました。
クラシックコンサートとしては少し特殊ですが、リサイタルの中で奏者へとインタビューをしたり、お客様から直接ご質問をお受けしたりすることで、奏者自身の考えを知るというきっかけ作りにも取り組んできました。
クラシックだけにかかわらず〝音楽〟というものの