は紛争後の未来を拓く鍵であり、生きる力を生み出す糧となります。質の高い教育を受け、大人になって故郷に戻った若者らは、その地域が抱えるさまざまな問題を解決する担い手となります。実際、難民の方の中には将来、故郷に戻って社会の発展に貢献したいと強く願う若者も少なくありません。
紛争で大切な人や多くの時間を失ってもなお、希望を捨てず未来を切り拓こうとする人たちに対し、日本社会にいる私たちは何ができるでしょうか。
■パスウェイズ・ジャパンとは―教育を通じて難民の新しい道を切り拓く
私たちパスウェイズ・ジャパンは、難民を留学生として日本に受け入れ、自分の力で未来を切り拓いていけるよう教育面からサポートします。紛争や迫害で祖国を離れざるを得ず難民となった方々を、市民社会の協力を通じて受け入れることをミッションとして掲げています。
すでに2016年より5年間で、24名のシリアの方々を留学生として日本に受け入れてきました。
2017年3月、プログラム第1期生6人をスタッフが空港で出迎え。トルコから呼び寄せて到着した初めてのシリア人。日本語、英語、アラビア語の3カ国語で「日本へようこそ」
PJは、市民社会が協力して受け入れ態勢を整えれば、日本に来て学び、社会に貢献したいと考える多くの若者を、この国は受け入れられると考えています。一度失いかけた人生の目標を追いかけるため、機会を必要としている若者と、多様な人材を必要としているこの社会を結びつけること、それがPJの取り組む仕事です。
■プログラムについて
シリア人留学生の部屋の様子。来日して3カ月後に訪問したところ、日本語学校で学んだ漢字を壁に貼り出して覚えていた。
過去に受け入れたシリアの若者たちは、来日前からオンラインで日本語の基礎を学び、来日後は日本での生活についてオリエンテーションを受け、2年間かけて日本語を学びました。また、地域社会の人々との交流やアルバイトを通して、日本の考え方、文化・習慣などを理解していきます。ほぼ全員が、半年間でアルバイトができるようになり、2、3年で、進学・就職レベルの日本語を身に着けて、次のステップに進んでいきます。
もちろん、まったく異なる文化習慣の国に来て、新しい言葉を覚えるのは簡単なことではありません。
あるシリア留学生は、「日本に来ることは、まるで未来に旅をするような経験だった」と語ってくれました。しかし、それでも、新しい国に来ようとするのは、「夢をあきらめきれなかったから」と言います。避難先のトルコでは、大学にも行けず、希望していた仕事にも就けず、思い描いていた未来は叶わないと諦めていた日々もありました。そこから、自分の力でを経てチャンスをつかみ、未来を切り拓ける国に来て、日々必死に学び、働いて、目標に到達しようと奮闘しています。
そんな留学生らの姿を見て、周囲の人々も動かされ、各地で支援と交流の輪が広がってきています。
沖縄県那覇市内の日本語学校で2年間学んだあと、県内で就職して働くシリア出身の元留学生。新型コロナ拡大下での就職となったが、地元の人々に支えられ、仕事に勤しむ日々を送る。
トルコでの募集面接の様子。募集地のトルコでは、毎年スタッフが日本から出向き、応募者1人につき約90分の面接を行う(現在はオンライン)。来日後の希望や将来の夢の聞き取りに加えて、日本で直面するだろう多くの課題も含めて、事前に丁寧に説明する。
2021年3月に行われた日本語学校・進学の祝賀会。支援者の方々にはオンラインで配信。留学生達の思いのこもったスピーチに、心を