ています。
流通していないということは、自生地から正規の手続きをとりながらですが採取してくるということなので、正直なところ、現在も少量のアリ植物の野生株そのままの販売はしています。ですが、今後生産農場を拡大していき、増殖生産方法もより効率を上げて確立させていき、アリ植物、特にアリダマは増殖株のみの販売に切り替えていく計画です。
道のりは長いと思いますが、10年後ぐらいにはある程度その体制を整えたいと考えています。
そしてより普及し、園芸の1ジャンルとして定着するまでに至れば、観葉植物農場の一部であるような自生地に契約農場を作り、雇用を生み出し、現地資源を持続できる形で利用出来るのではないかと考えています。
これまでの活動
私はもともと愛知県立芸術大学で日本画を専攻しており、植物とは全く関係のない道を歩んでいました。
植物や自然などのモチーフを多く扱う日本画の授業を受けるなかで徐々に植物の魅力に惹かれ、大学2年の頃に観葉植物を育て始めたことをきっかけに、変わった造形の植物を育てることにのめり込んでいき、アリ植物に辿り着きました。
卒業後は画材屋やステンドグラス製作など、ものづくりの仕事をしながら趣味で植物を続け、前職では植物のメディアの会社に入り、多くの関係者の方と話をしていく中で、自分のやりたいことや立ち位置を把握し始め、独立に至りました。
その約1年後の2020年9月にアリ植物農家として認定新規就農者になりました。
現在の農場現在は洋ラン農家の方の温室を一部間借りしていますが、特殊な栽培環境であるため、専用の温室を建造するべく認定新規就農者が受けられる青年等就農資金を申請し、アリ植物生産農場立ち上げの計画で約2800万円の与信で融資審査が無事通ることができました。
また、植物園での展示協力や講演会などを去年から行い(名古屋 東山植物園、大阪 咲くやこの花館、広島市植物公園など)、種苗交換や販売などで植物園にアリ植物を譲り、全国の植物園でアリ植物が見られるよう、普及活動を行っています。
名古屋 東山植物園 重要文化財「温室前館」での展示風景
広島市植物公園での展示風景大阪 咲くやこの花館での展示風景日本植物園協会の正会員入会とさらなる普及活動のため、一般社団法人日本蟻植物協会を設立。栽培情報などアリ植物についての情報発信の場を作ることにしました。
さらに、基本的に熱帯植物で、一般家庭での栽培が少し難しい一方で興味を持っていただいた方などに魅力をより知ってもらえるよう、アリ植物をはじめとした変わった造形の植物からインスパイアされたグッズ、美術品、栽培に使える鉢などを作る「REMAKE」というプロダクト事業を立ち上げました。
美術家を志しアートを勉強してきた今までと、その途中で出会い感動した植物の面白さが繋がった気がします。
今回のプロジェクトのためには、園芸植物の生産技術である組織培養が必要と考え、とある大学と組織培養研究を行っています。まだまだどうなるかわかりませんが、他研究の成果とこれまでの実験の感触から、実現の可能性は高いとのことです。
大量生産には価格の暴落などデメリットがありますが、そもそも低価格の普及種が少なく、今後新しい種の導入をしてもすぐには培養し生産ができないので、ほどよく価格を落ち着かせてくれると考えております。
価格の高騰はすぐに現地資源の乱獲に繋がりますので、うまく利用してコントロールしていけたらと思います。
また、アリ植物の研究に関しても各研究機関と協力して発展させていきたいと考えて行動しています