はじめに・ご挨拶
初めまして、伊藤蟻植物農園の伊藤と申します。
国内外からアリ植物を集めながら、自生地にも足を運び、未流通種の導入と環境、生態を観察してきました。栽培・増殖方法も確立されていない植物だったため、試行錯誤を繰り返し、昨年の2020年9月に全国で唯一、『作目:アリ植物』で新規就農し、認定新規就農者となりアリ植物専門の農場を立ち上げました。
これまでにBRUTUS 珍奇植物特集、NHK出版 趣味の園芸、ビッグイシュー、現代農業、地元である中日新聞や共同通信の取材により全国の新聞に掲載、中部地方のCBCラジオに出演するなどして、アリ植物の普及に努めてきました。
現在約150種以上のアリ植物と数百種の熱帯植物を生産・販売しております。
早速ですが皆さん、『アリ植物』ってご存知でしょうか?
自然下では様々な戦略をとって色々な植物が繁栄していますが、この植物はアリを巧みに利用して生長しています。
生長する過程で自ら穴を作り、アリなどの生き物を住まわせる。
例えば食虫植物はご存知かと思いますが、これは虫を植物が根以外の器官を使って消化吸収し、栄養分に変え、栄養の少ない土地でも生き残ることが出来るよう進化させた植物です。
アリ植物は植物自身の体にアリなど生き物が住める空洞やアリが食べる餌を作り、そこに住まわせ、外敵から身を守ったり、アリの排泄物や死骸などから栄養分を吸収することが出来るよう進化した不思議な植物です。
熱帯地域にのみ分布していて、世界に約680種あるとされており、調査を続ければまだまだ発見されるとも言われています。
また、食虫植物などはある程度属や科などの分類群が決まっていますが、アリ植物は代表的な分類群は限られており、様々な分類群に点在していて、その進化や生態系も謎が多い面白い植物です。
魅力的で面白いアリ植物
実際にどんなものがあるのか少しだけご紹介いたします。
Myrmephytum arfakianum
西パプアの高山に自生するアリダマ。
Myrmephytum属は青い花を咲かせますが、この種の花は特に大きく、密集するように咲くのでとても美しいです。
標高2000mほどの涼しい環境に自生していますが、栽培下では比較的高温にも耐えられます。
異形花柱性で種をとるのが難しいですが生産に挑戦中です。
Lecanopteris darnaedii
スラウェシ島に自生するアリノスシダ。
根茎が分岐しにくく、太く大きくなるため芋虫のような変わった形状に成長します。
こちらも標高2000mほどの高山性ですが栽培下では比較的高温にも耐えます。
胞子と株分けで増やせるため、生産中です。
Vecahellia(Acacia) sphaerocephalaメキシコに自生する托葉部分が変化したトゲが形成されるアカシアの仲間。
トゲの空洞部分にアリが住み、葉の縁にアリの餌となる分泌物を出します。
マメ科なので成長が早く、海外では一風変わった盆栽として使われたりしてます。
種子からと、挿し木で増殖可能なので生産をしていきたいです。
Cecropia obtusifoliaコスタリカやコロンビアなどの中南米に分布する、ヤツデグワと呼ばれる植物の一種。
竹のように中空になった茎にアリが住み、葉の付け根にアリの餌となる分泌物を出します。
Cecropiaはほとんどの種がアリ植物とされています。
種子や挿し木で増やせ、栽培も容易な方ですが巨大な木になるのでそれなりの栽培環境が必要です。
このプロジェクトで実現したいこと
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