
されます。
1988 年夏の開発から現在まで約 33 年余りの間,国内外の多くの学生,研究者,技術者,一般市民の方々とともに上記技術を核として生態系の仕組みにしたがった植物資源の滑らかな利用開発に取り組んできました。(詳細本文参照)
現在,国内外の企業数社と新しいシステムで植物資源応用開発を進めるとともに,地方公共団体とも連携し,地域資源循環活用モデルの立ち上げを計画しているところです。
遠くない未来において,現在の 1 次産業の枠を超えた新しい形で,植物資源が人間社会の基盤を形成していることを期待しています。
植物は生態系の基盤であり,人間もその一構成ユニットです。石油を基盤とした現行の工業システム,現行の社会システムにおけるイノベーションは,その変化が明確に認識できる Active Innovation です。一方, 植物系バイオマス(生態系)を基盤としたイノベーションは Silent Innovation でなければなりません。植物資源が人間社会を経由して真に滑らかに生態系を流れているとき……… その時,私たちは何も感じないはずです。Silent Innovation により導かれた未来は,そのような静かで美しい時代ではないでしょうか。
2021 年 7 月
三重大学名誉教授
経済産業省技術研究組合 Lignophenol & Systems 理事長
舩 岡 正 光
< 内 容 目 次 >
一 人は森とどう付き合っている?
・森林の二つの役割 ・ハイテク製品の原料は石油、
・石油資源はあと五十年 ・水道の蛇口をしめるには
二 自然界のシステム
・すべてはつながっている ・自然界では誰もが主役
・私は何からできている? ・木になる気体
・こぼした水は拾えない ・気体を仕入れて個体をつくる
・森は壮大な化学工場 ・ルーツをたどればすべては森に
三 石油は太古の森林資源
・樹木五十歳、石油一億歳 ・石油工業にはむだがない、
・森林資源は使い捨て ・樹木は石油に替われるか
四 千年立ち続ける木の不思議
・重い枝の支え方 ・何千年も立ち続けるには、
・水につかっても腐らない ・地震も平気な木の秘密
五 樹木をミクロの世界から見てみると
・細胞のほとんどは死んでいる! ・骨格がない樹木
・主な素材は三つだけ ・樹木の驚異のパワーはこれだ
六 ただものではない奴、リグニン
・リグニンの秘密 ・すぐにつながる活発な分子
・リグニンには手を出すな? ・見方を変える
・主役は誰? リグニンを中心において見れば
七 良い子はよい環境で育つ
・良い子の育て方 ・どの子も活かすー相分離系の話ー
・リグノフェノール誕生!
八 循環型材料を創る
・分子スイッチの話 ・樹木から望み通りの材料を
九 分子レベルのリサイクル
・植物をまねてみる ・紙から木へのリサイクル、
・CO₂にする前に ・未来のシステム、そして今から
十 求める答えは樹の中に
・人間がいてこそ地球 ・環境すべてを受け入れて、
・机も紙も未来の資源
十一 サイレント イノベーション
・植物資源の滑らかな利用開発、
・Active Innovation から Silent Innovationへ
支援金の主な用途
・印刷業者への製本料の支払い
・支援者への本の送料
・森の名工の木製お箸制作料
・クラウドファンディング手数