AIは「動く」から「うまく動く」が求められる時代に AI導入におけるUX デザインの重要性を解説した1冊『AI and UX』を翻訳出…

AIは「動く」から「うまく動く」が求められる時代に AI導入におけるUX デザインの重要性を解説した1冊 『AI and UX』を翻訳出版したい! | THOUSANDS OF BOOKS

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学術、代理店、企業の世界で30年以上の経験がある。User Centric社の初期段階から2012年にGfK社に売却されるまでの間、ギャビンと同社を共同所有していた。User Centric社にいる間、UXエージェンシーのグローバルアライアンスであるUser Experience Alliance社の設立を支援。北京ではUXエージェンシーのUser Experience Ltdを設立。グローバルUX企業であるReSightGlobalの一部であるBoldInsightの共同創設者、共同所有者、およびマネージングパートナー。米国政府の健康記録のユーザーインタフェース標準を含む、いくつかの特許と数十の技術出版物を持っている。ノースウェスタン大学の非常勤教授でもあり、イリノイ大学アーバナシャンペーン校で認知・実験心理学の博士号を取得している。

社会実装としてのAI活用のフェーズに向けて
発起人・翻訳:飯塚 重善より

 新型コロナウイルスの感染拡大による移動制限と、デジタル庁の創設に向けた行政改革によって、日本国内の、データやデジタル技術を取り巻く環境は大きく変化しました。さらに、AIの存在価値は大きく変化していきます。AIを活用してイノベーションを起こしたければ、「動く」から「うまく動く」へとシフトさせる必要があり、それが普及率を高める大きな要因となります。

 一方で、AI技術は飛躍的に進歩し、これからもまだ続くと思われますが、精度だけではなく、実際に現場でどれほどの効果を発揮するのか、成果が求められるようになってきています。技術的な試行錯誤も大切ですが、それ以上に現場での使われ方、現場が受け入れられる画面設計が重要です。それはユーザーにとって身近で使いやすいものでなければなりません。つまり、社会実装としてのAI活用が求められるフェーズになってきています。

 本書は、AI を企業に導入させるには、UX デザインが重要であること、また、AI をサービスに利用するには、AI の正解の指標としてUX デザインが必要であることを述べており、AIの利用と成功が優れたユーザーエクスペリエンスに依存していることを理解するとともに、サービスデザインに関する主張の延長上にあるもの、という捉え方もできます。ただし、UX デザイナーには、工学的なことに明るくない人も少なくなく、そういった人向けに、AI との親和性を主張するものになると考えられます。もう少し対象を広げて、AI を使ったシステムを売りたいベンダーや、DX を考えている企業担当向けにアピールすることもできると考えられます。また、UX デザイナー界隈とAI 技術者界隈を橋渡しする位置づけ、という見方もできます。さらには、AI 技術者に対して、UX デザインを採り入れることの重要性を説く、啓蒙的な内容ともいえることから、たとえば、大学(理工系)の教養(1・2 年生)向けに、とも考えられます。AI の過去の経緯が、記事や論文を引用しながら追われているので、歴史的な勉強にもなります。

飯塚重善(いいづか しげよし)
1990年静岡大学理学部数学科卒業。同年、日本電信電話株式会社入社。2009年4月より神奈川大学経営学部 准教授。特定非営利活動法人人間中心設計機構理事。HCD-Net 認定人間中心設計専門家。UX デザイン、コミュニケーションデザイン、インタラクションデザインの研究に従事。 博士(情報学)。訳書に『SF映画で学ぶインタフェースデザイン-アイデアと想像力を鍛え上