しないところで、そもそも存在からして想定すらしていなかったかも知れない一日本人の読者である私に「自分事」の物語として衝撃を与え、他の日本人にもこの衝撃を味わってほしいと思うに至らせた。
日本と台湾の間にある歴史、そして今に至るまでの相互の関係を一言で言い表せる言葉は「片恋」だと私は思っている。
台湾という土地を自分達の都合のいいように、さまざまに理想化してきた、個々の日本人からの台湾へのどこか自己陶酔的な勝手な「片恋」。そして台湾から日本への「片恋」。
「綺譚花物語」を貫く恋の形もやはり「片恋」だ。
だからこそ、この「片恋」を描いた物語を、今、私は日本に届けたい。私たち日本人がしている「茉莉の恋」に気付く日本人がどこかに他にもいるのではないかと、この問いを放ってみたい。そして一人でも多くの日本人にこの衝撃を「自分事」として味わってほしい。
双方の片恋が片恋のまま潰えてしまう前に。
黒木夏兒(くろきなつこ)初の台湾旅行で一目惚れした台湾BL小説『ロスト・コントロール~虚無仮説~』の翻訳企画を持ち込み、2013年にフロンティアワークスから翻訳者デビュー。2014年からは同一作者の『示見の眼』シリーズを電子書籍で日本に公式展開している。2016年に台湾映画「太陽の子」字幕翻訳を担当。2019年、翻訳を長年希望していた台湾漫画『北城百畫帖~カフェーヒャッガドウ~第一巻』がデジタルカタパルトから刊行(第二巻も待機中)。同年、サウザンブックス社から刊行の『書店本事 台湾書店主43のストーリー』翻訳に参加。2021年、五月書房新社から刊行の『緑の牢獄 沖縄西表炭坑に眠る台湾の記憶』を翻訳。映画「緑の牢獄」の字幕翻訳及びパンフレットの編集も行う。
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