く変わりはじめています。そして,このような状況は,ややもすると,大都市圏と地方との学びの質の格差拡大につながる可能性が大きい。もちろん,上述のような力を自ずと身に付けることのできる生徒,大学に進学してからでも間に合う生徒もいるでしょう。しかし,多くの生徒にとっては,探究のプロセスを遂行する力は学習を通して身に付けていくものなのです。
「探究的な学び」とは
「探究的な学び」とは,生徒による「問題の発見」に始まり,「仮説の設定」「解決策の考案」「解決策の実践」「振り返り」といった一連の過程を繰り返していく学習活動です。多くの高等学校では,依然として,あらかじめ定まっている「答え」を求めたり覚えたりする学習が主となっています。VUCAの時代を生き抜くためには,自らが問いをたて,問いに向き合い,自らの可能性に気づくことが一層大切になります。生徒は,「探究的な学び」を通して,対話(ディスカッション)力,表現力はもちろん,主体性(自ら進んで学ぶ態度)や協働性,正解のない問いに挑戦する力,新たな価値を創造する力を育むことができます。
「探究的な学び」の実装化は,教師の大きなチャレンジ
「探究的な学び」の実装化は,教師にとっても大きなチャレンジです。教師自らも体験したことのない学びをデザインしていくには「授業研究」,すなわち,生徒が実際に授業で学ぶ様子を複数の教師が観察し,その結果をもとに,授業後に省察・協議することが欠かせません。その「授業研究」を推進し,スーパーバイズするWorkshopリーダーが必要になります。
このような現状認識のもと,私たちのプロジェクトでは,「明日の思考力コンテスト」のような単発のイベント型の「探究」だけではなく,日々の授業の中に「探究的な学び」を実装化することをめざし,持続・自走可能な授業研究コミュニティを形成し,それらをつなげていきたいと考えています。
全国,どこに住んでいても,”New Normal”な学び,「探究的な学び」ができるようにしたい!
Workshopリーダーの育成は,この実装化の方策の一つです。
北海道からスタート!!
今回,このプロジェクトのスタートに北海道を選びました。北海道新聞において,「札幌集中のリアル」の中に,「広がる教育格差~急速に進む少子化や人口の札幌一極集中が,教育分野にもたらすゆがみに焦点を当てる。~」といった特集が組まれ,「どこに住んでいても,良質な学びが得られる環境を維持するにはどうすればいいのか」が論じられていました(2021.4.19~5.9)。北海道は広く,また小規模校も多い。学校や地域を越えて教員同士が交流する機会の必要性とその困難性がまさに同居します。北海道教育委員会はオンラインを利用した「遠隔授業」に力を注いでいるが,発信校が実施するオンライン授業を受けることが中心で,発信校と受信校の教員が協働で,「探究的な学び」を創出していくような取り組みにはなっていません。
「探究的な学び」により得られる問題発見や解決の楽しさ,協働することの意義を子どもたちが実感することで,身近な社会を自分たちの力で創生していく意欲につなげたい。すなわち,進学等で一旦北海道を離れるとしても,卒業後にはこの町で○○をしたい,この町の○○をよくしたいというビジョンが動機になり,そして,地元の相対的な価値を見いだす。多感な高校生時代に協働することの価値を知った仲間は,より明確になった様々なビジョンのもと,また集う。そのようにして創り出させる北海道の各市や町は,これからの日本にとってまさに”New N