■プロジェクト概要
・世界最小級※の縦笛「ピコパイプ」を3Dプリンタを使って生産します
・なんと、付属のオリジナルケースも笛になります。「笛 in 笛」です(詳細は本文)
・多くのご要望にお応えするため、今回は「目標額を達成しなくてもリターンします」
※2021年7月、1オクターブ以上の演奏可能な音域を有した縦笛において、同人サークルTORICOTOR調べ
有志の皆様に、ひとあし早くピコパイプを演奏して頂きました!
素敵な奏者さんたちの、youtubeのチャンネル登録やtwitterのフォローもぜひ!
全長約6.6cm。指穴はたったの3つ。このサイズで、1オクターブと少しの音域をカバーできる縦笛。それが「ピコパイプ(picco pipe)」です。
ちいさいから「ピコパイプ」? いいえ、違います。この楽器の歴史について知るためには、1850年頃のイギリスに思いを馳せる必要があります。
ジョゼッペ・ピッキ(Giuseppe Picchi)という、イタリア出身の盲目の吟遊詩人がイギリスを訪問したのは、1856年の頃でした。彼は、イタリア北部のイマーニャ渓谷地域で作られた「3つ穴の縦笛 」の名手で、イタリアをはじめとしたヨーロッパ各地を周遊しては、オペラ劇場でアリアや流行曲などを演奏していたそうです。貧しい農家の家庭に生まれ、生まれつき目が見えなかったピッキ。彼がその楽器を最初に手に入れたのは7歳の頃で「お祭の屋台で小遣い程度で買えた。3つ穴のあいた赤色の木製の縦笛だった」とか。そんな彼は、イギリスの演奏で大成功を納めます。
イタリアから来た、珍しい笛の奏者は、イギリスの記者たちによって間違った報道がなされます。まず、名前を間違えられてしまいます。彼の本名は「ピッキ(picchi)」なのですが、記事では「ピッコ(picco)」という名前で紹介がされます。そして、彼の笛は「picco pipe」と名付けられたのです。そうなんです。「ピッコさんが使っていた笛」という事で「ピコパイプ」なんですね。でも、実はこの時にピッキが使っていたピコパイプは、その後「ピコパイプ」として知られる楽器とは、形状が異なるものでした。
では、どうやって「ピコパイプ」は現在の形状になったのか。これもまた、イギリスの楽器製作者たちが「勘違い」したのが要因だったようです。当時、人気を博したピッキの楽器を、なんとかコピーしようとして職人が試行錯誤した結果「オリジナルのピッキの笛とは別の楽器」が出来上がってしまった、という訳です。面白いですよね。そして、ピッキが使っていた「3つ穴の縦笛 」もまた、現存しているそうです(ボローニャのアカデミア・フィラルモニカに寄贈)。
そんなこんなで、イギリス人の盛大なる勘違いによって「再発明」された楽器。それが、今回のクラウドファンディングでご提供する「ピコパイプ」です。
実は、このイギリスで作られた「ピコパイプ」も、その詳細や製造技術は失われてしまっておりました。特に、日本国内においては、浜松市楽器博物館などの特別な場所を除き、実物を目にすることすら難しい楽器です。今回、それを皆様にご紹介できるのは、元能面打師であり現在は楽器職人であられる増田豊春先生が、ピコパイプを「復元」されたからにほかならず、ご厚意により設計図を拝見させていただくことができたからです。これだけでも「ピコパイプ」をお届けできる事が、どれだけ歴史的にも意味のある事か、ご理解いただけるのではないでしょうか?
※下記のスペックは、今回クラウドファンディングで