はじめまして、有限会社森商事の森信行です。
この度は、私たちのプロジェクトをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
弊社は熊本県天草市で保育園や幼稚園で使用する家具を中心に製造しています。
100年ほど前に会社は誕生しました。
当初は油屋を営んでおりましたが、やがて塩屋、酒屋、瓦ブロック工場、生コンクリート工場、製材所を経て、22年前に現在の木工所が完成しました。
50年ほど前までは、私たちの回りは木で囲まれていました。
家屋、机、タンス、床、壁、天井、果ては船や荷車などに至るまで杉や桧、桐などの木が使われていました。
そのおかげで林業は利益の出る業種でした。
ところが、私たちの生活様式の変化や建物の西洋化、輸入材の進出などにより、日本産の木材市場は下降の一途を辿っています。
製材に適した樹齢30年超の杉や桧が生育している山林がたくさん天草にはあるのですが、これらの木々を伐採してもほとんど手元に金は残りません。
それどころか、出費しないといけない場合もあります。
山林の経済的価値がほとんどないのです。いま、山林は不動産ならぬ負財産になっているのです。
まず、曲がり材について説明します。
約30年の長い時間と手間をかけて丁寧に育てられた木材は市場へ出ます。
しかし、住宅資材として多く使用される木材は「真っ直ぐであること」が基準になっています。
30年同じ年月を過ごしてきたはずの木が「曲がっていること」たったこれだけの理由で市場での価値が著しく低くなっているのです。
曲がり材となる基準についてですが、3cm〜6cmで曲がり材となります。
天草に植林してある中で一番多いのが桧です。
しかも桧は世界中で日本にしかありません。
その桧を活かせないか、私は、ずーっと考えていました。
そのような折に、丸太のスマホスタンドが欲しいとの依頼がありました。
直ぐに製作に取り掛かり、お客様にお届けしました。
このスマホスタンドの製作中に、「もっと他に活かせる商品はないものか」と考え開発を始めました。
「桧丸」の香りは、ふつうの桧の香りとは違います。
一番の魅力は桧の香りです。これは皆さんが想像する普通の桧の香りとは違います。
住宅建築の場合を例にとりご説明しますと、皆さんが覚えている桧の香りは、
おそらく、製材した木材を使い、住宅の建築を開始した時に漂う香りでしょう。
今回私たちが届けたいのは、その香りより強い柑橘系の香りです。
この香りは、山から切り出した桧を乾燥させないで、直ちに製材した時に出る香りです。
どのような香りか、文章で表現することはとても難しいのですが、
「すーっとする、清々しい、さわやか、気持ちいい、懐かしい」といった言葉がぴったりの香りです。
人工の芳香剤ではない、自然の香りを皆さんにお届けしたい。
その一心で、いろいろと試行錯誤して、誕生したのが「桧丸」です。
「桧丸」には樹齢25 年から 35 年の天草産桧 を 使用します。
桧丸の製造は以下の工程を経て行われます。
①現地で 伐採 し、そのまま工場へ搬送します(伐採)。
建材に使用する場合、伐採後現地でしばらく乾燥させてから搬送するのが一般ですが、
桧丸の場合、新鮮な桧の香りをそのままお客様にお届けしたいので、伐採後の乾燥はし
ません。
②桧を覆っている茶色い樹皮を剥離します(皮むき)。
③10 センチの長さに 切断 します(切断)。
④年輪のセンターに直径約 4 センチの穴をあけます(穴あけ)。
⑤桧丸の表面を愛情を込めて手作業