「他の子と同じように学校に通い、お友だちと過ごす」…そういった、当たり前で大切なことができない子どもたちがいるのを知っていますか?
生きるために、人工呼吸器や胃ろうなど、医療機器のサポートを必要とする「医療的ケア児」。
そんな医療的ケア児たちが今、「希望の学校に通えない」という問題に直面しています。
こんにちは。NPO法人アンリーシュ代表の金澤裕香です。
重度の障がいがあり医療的ケアが必要な娘を6年間育てていました。その経験から、医療的ケア児の育児を情報面から支援するNPOを立ち上げて3年目になります。
医療的ケアを理由に入学を断られる
医療的ケア児の数は、現在約20,000人。医療の発展とともに10年前の2倍に急増し、新生児の1,000人に1人の割合で誕生しています。
そんな子どもたちが成長し、学齢期を迎える子も増えてきました。
しかし、
✅医療的ケアがあるから、特別支援学校(養護学校)にしか入れない
✅人工呼吸器があるために通学バスに乗れず、自宅での訪問教育しか受けられない
など、医療的ケアを理由に進路を限定されてしまうケースが続出しています。
みんなと同じ学校に行きたい!
Aちゃんは、胃ろうがある医療的ケア児です。1日5回、胃ろうから栄養注入をする必要があります。若干の知的障がいがあるものの、逆上がりも出来ちゃうとっても元気な女の子です。
Aちゃんはお友だちと遊ぶのが大好きなので、地域の普通学校への進学を希望していました。
ですが、教育委員会の答えは「ノー」でした。
ママ「この地域では、医療的ケアがある子が普通学校に行った前例はありませんと言われてしまいました。胃ろうがあるので特別支援学校にして下さいと。娘は元気に動けるし、たくさんのお友だちと触れ合える普通学校に行かせたいのに…」
このように、「前例がないから」と断られてしまうケースがとても多いのです。
全国の事例を集める
ならば、前例を集めた事例集があれば、学校側もそれを参考に受け入れが可能になるのではないか?私たちはそう考えました。
日本全国には、少ないですが医療的ケアがあっても普通学校に入れたケースや、人工呼吸器があってもバスに乗って特別支援学校に行けたケースもあるのです。
それら「医療的ケア児の就学事例」を集めて冊子にし、保護者も学校も参考にできる資料を作ります。
さらに、各事例ごとに「誰が医療的ケアを担当しているか」「どのように入学する学校が決まったか」を細かく記載します。
この事例集が、学校における医療的ケア児受け入れのマニュアルになることを目指します。
事例集完成後は、1000冊印刷し全国の教育委員会や、就学支援を行う相談支援員へ配布。
また、全ての資料は特設HPに載せてダウンロード可能とし、誰でもアクセスできるようにします。
どんな子どもも、希望の学校に行ける社会へ
「前例がないから」と断られるのではなく、「この前例を参考にしよう!」…そう思ってもらえる資料があれば、医療的ケア児の学校への受け入れはもっと進むはずです。
子どもに医療的ケアが必要になる理由は様々です。
20,000人いると言われている医療的ケア児のうち、およそ6割の子には先天性の疾患があります。
ですが、残りの4割の子は、出産時のトラブルや成長してからの病気や事故など、後天的な理由で医療的ケア児になっているのです。
医療的ケア児は増え続けています。あなたの近くにもいるかも知れません。
どんな子どもも希望の学校に入れる社会に向けて、一緒に考えていきま