りました。その最初の取り組みが、傘づくり教室です。
2021年1月に実施したミニチュア傘づくり教室は、募集5人に対して、15人ほどの参加意向があり、そのうち8人に受講いただきました。
そのうち、6人がさらに高度な技術を身に着けるための講座を継続して受講し、1人で傘の組み立てができる技術を身に着けることができました。
ただ、このような技術は教室終了後もそのスキルを向上させる場、技術を維持する機会というものが大切です。
そのため、谷村織物工業組合では、傘づくりのために必要となるミシンを購入し、受講生にはそのミシンが自由に使える環境を整えましたが、谷村織物工業組合事務所では十分なスペースがないため、受講生がミシンを使って活動ができる場所が求められるようになりました。
第2の取り組み:活動をする拠点を整備
そこで、今度は傘づくりが行える拠点を整備することにしました。
場所は、都留市役所から徒歩1分の市内の中心部です。
富士急行線の谷村町駅からも徒歩3分と非常に交通アクセスの良い環境になっています。
この周辺は、都留ミュージアム、商家資料館、屋台展示庫といった観光拠点があり、観光客が訪れるエリアになっています。
また、大月方面から富士山、河口湖方面へ向かう国道に面しているため、車で富士山などへ訪れる多くの観光客の目に留まる場所にもなっています。
建物は、20年以上空き家となっていた物件をリノベーションし、再活用します。
傘づくりができるミシンをここに設置し、傘づくり教室の受講生の実習の場にするだけでなく、そこで作成された傘が目で見て、触って、購入ができる場にしたいと考えています。
また、市内で作られた郡内織のネクタイや座布団といったものも活用し、郡内織を感じられる、体験できる場所としていきます。
これまで都留市のこの地域に観光に訪れる方は、城下町や湧水といった観光資源に魅力を感じて訪問する方がほとんどでした。
そういった方々が郡内織・ほぐし織に目を向けていただける機会になればと考えています。
残された1つの課題:実習の場の不足
ただ、最後に1つ課題が残りました。
それは、受講生はミシンを使って傘づくりはできるようになったものの、受講生のレベルとしてはまだまだ不十分だということです。
一般的に、販売できるまでの力を身に着けるには2年ほどの修業期間が求められると言います。
それまではある程度、実習として練習できる場が必要なのですが、そういった実習にも材料費などのコストは少なからずかかってしまいます。
もちろん完成品は、傘としての機能は十分果たせるものなのですが、若干よれている部分があるなど、愛嬌のある傘に仕上がることもあるため、必ずしも市販できるとは限りません。
傘づくりの実習生が作っている傘を面白いと感じていただけ、それを応援して使っていただける方がいることで、継続したスキルアップの機会を作ることができます。
これからの時代に即したものづくりを
これまでの世の中は、大量生産、大量消費とそれに伴う大量廃棄という経済でした。
実際、洋傘振興協会によると、日本国内だけでも傘の年間消費量は1.2億本にのぼるそうです。
毎年1人1本の傘を購入していることになります。
織物業界としてもファストファッションが流行っていますが、その一方で途上国の労働環境等人権問題が顕在化しています。
本プロジェクトは、製品を製造する生産者が「働きがいのある人間らしい仕事」として、誇りをもって生産する。
また、消費する私たちも、生産者の顔が