第二十九話 ランク十
第三十話 寿老人と福禄寿
第三十一話 トーナメント
第三十二話 大鳥勇也
第三十三話 未来を語る哲学者
第三十四話 伊藤爽平
第三十五話 大黒天の日本神話
第三十六話 決戦の前夜Ⅰ
第三十七話 決戦の前夜Ⅱ
第三十八話 布袋尊の燭陰Ⅰ
第三十九話 布袋尊の燭陰Ⅱ
第四十話 布袋尊の燭陰Ⅲ
第四十一話 二条陽子
まず、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』は爽快な物語です。無敵のカードプレイヤーである二条陽子がライバルたちと対戦して、ばたばたと一方的に倒していきます。
最強の美少女である二条陽子になって、妖怪たちの暮らす世界で冒険する。それが物語としての『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』の楽しみです。
もちろん、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』の楽しみはそれだけはありません。
二条陽子はただの無敵のカードプレイヤーではないからです。
彼女は広大な敷地を持つ淑景館の令嬢であり、学校では女王として君臨した、そして常に彼女を支えてくれる家族や親戚、加奈という絶対に裏切らない無二の親友がいる恵まれた女子高校生なのです。
名家の出身で、学校でも人気者で、学業もスポーツも完璧です。
現実世界でも仮想世界でも、彼女はみんなから愛されています。
親友の加奈はいかなるときでも陽子を支えてくれますし、仮想世界で出会った爽平は穏やかな好青年で陽子を愛しています。
案内役のツララは陽子の味方ですし、最高管理者の七福神も陰ながら陽子を見守っています。二人の兄は彼女を溺愛しています。
現実世界でも仮想世界でも、陽子は守られているのです。
もちろん、物語の舞台となる宇宙都市も気楽で楽しい世界です。
陽子たちは太陽系を支配する「八惑星連邦」の宇宙都市で暮らしていますが、宇宙都市という言葉から想像できるように、彼女たちが生活している世界は科学が十分に発達した世界です。
人類が宇宙で暮らしているため、環境問題は解決済みです。また、ロボットや人工知能が発展しているので生産能力にも問題ありません。まさに労働は自己実現の世界です。
それだけではありません。
科学だけではなくて、八惑星連邦は政治的にも発達しています。富は国民全員に行き渡り貧困層は存在しません。信仰の自由も保障されて、特定の宗教が政府により弾圧されることもありません。
また、人々が自分の個性と能力を伸ばすための環境も整えられています。現代社会にありがちな自由とはいっても結局は格差社会だよねという世界ではありません。
能力に応じて働き、必要に応じて受け取る。
それが宇宙都市のある八惑星連邦です。
この世界にはすでに差別も貧困もなくなりました。つまり、陽子だけではなくて登場人物の多くが恵まれた環境にいる世界なのです。
差別の根絶と、貧困の根絶。
それが実際に実現された世界を覗いてみることも、『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』の大きな楽しみの一つだと私は考えます。
自分だけではなくて、誰もが楽しく生きることができる世界。
何ひとつ未来の心配がない美少女が、平安時代、室町時代、江戸時代、大正時代の四つの仮想世界を総会に駆け抜ける物語。
それが『太陽神の巫女-AmaterasuCard-』です。
おそらく、ここまで読んでいただいた方で、たくさんのWEB小説を小説投稿サイトで読んでいる愛好家の方がいれば、「ああ、これは異世界転生だな」、と思うかも