いやきを食べたいと思っていたのにご近所にたいやき店がなく、街中まで出かける交通手段も限られているので我慢していたとのこと。焼きたてに比べると味が落ちることを確認した上で、温め方の説明を添えてチルド(冷蔵)便で送らせていただきました。
本当に喜んでいただけたので、こうしたたいやきが簡単に買えない地域の方にお届けできる方法がないかを考えるようになりました。
【背中を押してくださった人気ロックバンドのボーカルの言葉】
もうひとつのきっかけは、とある人気ロックバンドのボーカルの方の言葉です。
数か月前、テレビドラマに出てくるたいやき店の監修とドラマ中で食べられるたいやきの提供をともえ庵でお引き受けしました。
最初は、ともえ庵で焼いたたいやきを撮影所に持ち込んで、食べるシーンを撮影する予定だったそうです。ところが、ともえ庵のスタッフがテレビ局のセットでたいやきを焼いて出したところ、あまりの味の違いに出演者の方が驚かれました。この味の違いは演技に影響しかねないとのことで、撮影のたびにセットで焼いてお出しすることになりました。
ドラマで使用したたいやきの型。普通のたいやき
の型とドラマのオリジナル「さんま焼き」の型です。
ある日の撮影では、俳優として出演されている人気ロックバンドのボーカルの方がたいやきを召し上がられました。リハーサル1分前に焼いたものです。「たいやきが好きで買ってきてもらったり、デリバリーを頼んだりするのですが、焼きたては初めて。こんなにおいしいとは」と言っていただきました。
考えてみれば、芸能人の方が並んでたいやきを買うのは難しいかもしれません。ドラマに出演された俳優さん方は全員、ともえ庵のたいやきの味を気に入って下さったのですが、撮影終了後には誰も焼き立てのたいやきを食べることができないかもしれないと気付きました。焼きたてのたいやきを食べることができない人は 地方だけでなく都会にもたくさんいるのです。
実は、この時には既に地方発送ができるたいやきはできていました。でも、店頭の焼きたてにこだわりたい気持ちから、本当に出すかどうか悩んでいた時期でした。このボーカルの方の言葉に背中を押していただき、通信販売の実現に踏み切ることにしました。
参考:ドラマ公式ブログ
■通信販売ができるたいやきの開発への挑戦
【たいやきが通信販売に向かなかった理由】
どうしてたいやきは通信販売に向かないのでしょうか。それは温め方が難しいからです。何度も説明している通り、たいやきのおいしさにはパリッとした皮が重要です。なので「温め方」では、最初に電子レンジで中身のつぶあんを温め、次にオーブントースター1分30秒~2分で焼いて皮をパリッと仕上げます。オーブントースターでの焼き時間がやや長めなのは、最初の電子レンジの段階で温められたつぶあんの水分が一度皮に移り、それが飛ぶまで焼いているからです。
ある程度、温かさが残っているたいやきであれば、この方法でかなりおいしく食べていただけます。しかし、完全に冷めてしまったり、長期保存のために冷凍したたいやきの場合にはそうはいきません。つぶあんを熱くし、さらにパリッとした皮を取り戻すまでにつぶあんの水分が蒸発してパサッとした食感になってしまうのです。そうなると、残念ですがともえ庵のたいやきとは、形が同じでも似ても似つかぬ味になってしまいます。
たいやきを温め、焼き直すと、どうしても水分が飛んでしまい、パサついたつぶあんになってしまいます。
ともえ庵では、お持ち帰りいただいたたいやきを少しで