はじめに・ご挨拶
こんにちは!京都・嵐山にある甘味とねぎ焼きの店「嵐山のむら」店長のよりみです。渡月橋のそばで生まれ育ち、嵐山をこよなく愛しています。呉服屋だった父が、22年前に自宅を改装して始めた店を受け継ぎました。今は両親とともに、手作りの温かさと美味しさあふれる、「ただいまー」と帰ってきたくなるような店づくりに励んでいます。嵐山を好きな方が一人でも多く増えることを願って、情報発信も続けています。
「きなこシロップ」が作られた背景
当店の夏の名物「田舎氷」。ひとくち食べれば、「あ、きなこや!」と思わず声に出してしまうほど、濃厚な香りと味わいで、開店以来22年間、一番人気のかき氷です。
2020年にコロナ禍がはじまり、年中観光客でにぎわっていた嵐山も一時、ゴーストタウンのようになりました。
当店では、店内飲食を自粛しているあいだも、テイクアウトとご近所への配達で営業を続けていました。そんな折、コロナ以前に「田舎氷」をよく食べにいらしていたお客様が、
「店内で食べられないなら、なんとかして家に持ち帰れないかしら?」
と問いかけてくださいました。かき氷が大好きな娘さんのために、家で田舎氷をつくってあげたかったのだそうです。
それまでは店内のかき氷用として、きなこシロップは少量ずつ手作りしていました。このお客様のリクエストをきっかけに、きなこシロップをお持ち帰りできるようにと、のむらの挑戦がはじまったのでした。
プロジェクトで実現したいこと
紆余曲折がありました。しかし、昨年、初めて商品化したことで、きなこシロップの用途の広がりに気がつきました。かき氷にとどまらず、まるで醤油などの調味料のように、私たちの暮らしに、日常的に取り入れられる可能性を、今は感じています。
そこで、今年はもっとたくさんの方々に、きなこシロップの美味しさを知って、毎日に楽しく取り入れていただけるように、継続していきたいと思っています。
実は前回は、補助金や製造会社の協力のおかげもあり、予算をおさえた形で試験的に商品化することができました。ただ、今年はそうはいきません。通常予算での製造が求められています。これから継続的な製造ができる基礎を、皆様のお力をお借りしてつくりたいと考えています。
コロナ禍の今だからこそ、嵐山に旅をしたかのように、嵐山の味をご自宅で楽しんでいただきたい。きなこシロップで、皆さまの暮らしにいろどり添えるお手伝いをしたい!
そして、きなこシロップを手にしていただくことで、嵐山が皆さんにとっての特別な場所となれるように。
行けなくても近くに感じる、行けるようになったら真っ先に行こう。
そんな「癒しと希望の場所」になりたい、と願っています。
きなこシロップ商品化への道のり
昨年、初めて商品化を考えた当初は、製造についての知識がなく、ずいぶんと安易に考えていました。しかしハードルは想像以上に高かったのです。
まず、店内できなこシロップを製品化するためには、保健所の清涼飲料水製造許可をとる必要がありました。そのためには、今の厨房とは別に、大掛かりな製造設備を作り、消毒・殺菌などもしっかりとしなければなりません。食品表示法に基づいたラベル表示も必須。
嵐山のむらは、小さな甘味処です。小さな店内に大きな設備を準備してきなこシロップを製造することは、やはり断念せざるを得ませんでした。安全に瓶詰めするためには、製造設備と許可をもっている工場に依頼する必要がある。そこで、製造をサポートしてくれる工場を探しました。ただ、工場に委託すると