とができる。
書名:Les ignornants – Récit d’une initiation croisée
著:エティエンヌ・ダヴォドー(Étienne Davodeau)
発行国:フランス
言語:仏語
発行年:2011年
ジャンル:外国文学/コミック
ISBN:978-2-754803-82-3
著:エティエンヌ・ダヴォドー(Étienne Davodeau)
フランスの漫画家。1992年「サルシエルの友達(Les Amis de Saltiel)」で漫画家デビュー。その後、小説やルポルタージュを漫画で表現する手法を取る。扱うテーマは、政治や歴史的に重要な人物、または現代の魅力溢れる人物など多種多彩である。2013年、代表作「素顔のルル(Lulu femme nue)」がソルヴェイグ・アンスパック監督により映画化される。その他、代表作に「田舎者! 政治的対立のニュース(Rural! Chronique d’une collision politique)」(2001), 「モージュの人々(Les Mauvaises gens)」(2005),「我らが幼少時代の愛しき国(Cher pays de notre enfance)」(ブノワ・コロンバ作、2015)などがある。本作「無知なる者たち」(2011)は、2012年のアングレーム国際漫画祭の公式セレクションにノミネートされ、世界的な知名度を得ることとなる。
100年後も同じ土からワインを作り
同じ味を楽しんでいる子孫を夢見て
発起人・監修:京藤好男より
1990年代のイタリアに学んだ私にとって、当時のヨーロッパは繁栄の底に沈む暗部が次々と表面に浮かぶ季節だったと言えます。農業問題もその一つです。イタリアでは「ミツバチの大量死」が連日報じられ、フランスでは腕に先天性の障害を持って生まれる子の問題が謎のように語られ、イギリスからは「狂牛病」の脅威がもたらされていました。
1960年代から1980年代のヨーロッパでは工業型農業が推進され、化学肥料や人工飼料、農薬や除草剤が大量に使用されました。その政策は豊富な収穫をもたらす一方、副作用は着実に蓄積され、やがて土壌汚染や健康被害に繋がります。私が目にしたものは、60年代以降の負の現実化と言えるでしょう。有名な『スローフード』という食の伝統を見直す運動が、80年代後半のイタリアに台頭するのも、この背景と無縁ではないのです。
2000年代に入り、私はイタリア北部ピエモンテ州の若いワイン醸造家と知り合う機会を得ました。ワイン生産の名地に葡萄畑とワイン醸造所を構える彼は、アグリトゥーリズモという農業体験型ホテルの経営に乗り出そうとしていました。万全を期して、新たに購入した農地の土壌調査をすると、使用禁止の農薬が土に残っていることがわかったのです。それはワイン用の葡萄にも農薬が使われていたことを意味します。「ショックだった。ワインは土が作る。我々はこの土を守りたい。この土を健康に保ち、未来に持続させることが使命だと思う。だからいつも、どうやってこの自然と共に生きるか探しているんだ」こう話す彼の硬い表情が忘れられません。90年代末から有機農法がかなり浸透したイタリアでさえ、農薬や除草剤の問題の根深いことに改めて気づかされました。
そんなある日「これには、僕と同じ思いが描かれている。読んでみてくれないか」と一冊の本を託されました。それが本書『ワイン知らずマンガ知らず・仮』との出会いです。原作はフランス語(本企画での邦訳は仏語版から